甘い誘惑
……毎晩、おなじ女性の夢が続く。
夢、というにはあまりにリアルな感触。
しかし、自ら動けるわけではないから夢、なのだろう。
「姫様、本日も麗しく……」
毎夜毎夜、変わる変わるクラクラするような魅惑的な男性に甘い言葉を囁かれる。
私の心臓はトキメキ、動悸までしそうだけれど、当の女性は冷静そのもの。
「妾はそなたに興味なぞない」
一蹴し、身を翻しながら。
優雅で軽やか、恰も蝶のように。
……幾晩目だろうか。
プラチナシルバーの短髪を軽くかきあげた、ミニグラスのセクシーな男性に釘付けになった。
蠱惑的でありながら、少し卓越した物言いをする彼は、ただ甘い言葉を囁くなんてことをしない。
1度は一蹴したはずが、何の因果か一緒にいることが増えた。
胸の奥が少し痛む。
瞳を開けば、アイスブルーの宝石のような少し冷たい瞳から目を離したくない。
━━望んではダメ。
心の奥で警告音が鳴り響く。
それでも……私は……彼に恋をしていた。
女性の口元が弓なりになるのを感じる。
彼の耳元へ、何事かを
━━嗚呼、私が隣にいられたらいいのに。
……その瞬間、見えている情景が消え、水の中に浮いていた。
目の前には美しい女性が一糸まとわぬ姿で浮いている。
私に気がつくと魅力的な笑顔で近づく。
ハッとする。
私はわかった、あの女性であると。
『夢か現か……蝶は飛び立たん』
魅惑的に微笑み、私に抱き着いた。
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