第2話 再会
数年後、同窓会の知らせが来た。
彼女以外、まともに話した事がない僕が行っても、みんな嫌がるだろう。
なので、欠席のところに○をして、投函した。
しかし、後日幹事の女子から、電話があった。
話した記憶はない。
名前はハガキに書いてあったのでわかったが、顔が思い出せない。
なので、しぶしぶ参加した。
「まあ、すぐに抜け出せばいいだろう。誰も気づかない」
そう思い、会場に出かけた。
今や、あの子は日本中で知らない人はいないほどの、スターとなっていた。
形だけのクラスメイトも、形だけの担任も、その話ばかりだ。
(他に話題ないのか?自分たちの事を話せよ)
当然、口にはしなかったが・・・
彼女は、当然来ないだろう。
そう思っていたのだが、やってきた。
すぐに取り囲まれて、サインを求められた。
彼女は、快くおおじていた。
僕はそのどさくさにまぎれて、会場を後にした。
案の定、誰も気づかない。
会場から離れて5分ほどの距離、もう誰も追ってこない。
そう思っていたのだが・・・
「○○くん」
後から、今やスターとなった女の子が追ってきた。
おしゃれな格好をしている。
「どうしたんですか?」
僕は敬語で対応する。
まあ、しがない庶民が大スターに敬語を使うのが当然だろう。
住んでる世界が違うのだ・・・
「どうしたのですか?って、どうして敬語を使うの?」
「それが、礼儀です」
「私たち、友達じゃない。それは変わらないよ」
「いえ、僕とはかかわないほうが、あなたのためです」
かたくなまでに、敬語で通す。
「でも、どうして手紙の返事くれなかったの?私、待ってたんだよ」
「その理由は、あなたがよくわかっています」
「もしかして、私のマネージャーに言われたの?別れてくれって」
「当たらずとも遠からずですね」
マネージャーさん会ったことはないのだが、話を終わらせるために、ウソをついた。
「そう・・・」
彼女は、悲しそうな表情を浮かべた。
僕はその場を立ち去ろうとした。
僕には、彼女にかける言葉がみつからない。
「みんな心配しています。戻った方がいいです」
それだけをかけて、僕は後にした。
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