Phase07 発見
死体の山を踏み越えて部屋の奥に行くと、数人の子どもが寝そべっていた。どの子も体に機械を埋め込まれて身動き一つできない状態だ。雑な手術をされたらしく、生きながらにして、体が腐りかけている。
吐き気をこらえながら、虫の息の子どもたちを、一人ひとり殺して回った。なるべく苦痛を感じさせないように、頚動脈を押さえて血流を遮断する。
「悪いな。俺にできるのは殺すことだけだ」
自嘲的に吐き捨て、
もう一方の部屋に入ると、正面に巨大なモニターがあった。何かのプログラムらしきアルファベットが、目にも止まらぬ速さで書き連ねられてゆく。
「誰だ?」
モニターの前で白衣を着た男が叫ぶ。
男は俺を見て目をむいた。
「貴様、ピンフが狙いだな!」
ポケットから無線機を取り出して、警報ボタンを押そうとする。
「くっ!」
俺はナイフを投げた。
鋭い切っ先が、男から無線機を手首ごと奪い取った。
悲鳴を上げようとした男に飛びかかり、あごを蹴り上げる。
鈍い音がして、首が一回転し、男は泡を吹いて倒れた。
「こいつはピンフじゃないよな……」
モニターの横に、掃除用具入れのような物があった。そこから人の気配がする。
「ここか?」
フタを開くと、西洋系の少女が入れられていた。
棺桶で眠る吸血鬼のようだった。酷くやせ細っていて年齢が分かりにくい。幼そうに見えるが、一つ二つ年上だと言われてもおかしくない。
少女は薄っぺらな下着しか身に着けていなかった。地下室は肌寒いほどなのに、ほとんど裸のような格好だ。むき出しの肌は病的に青白い。手首と足首、それからかすかに膨らんだ胸の下辺りに、ベルトが巻きつけられている。
「また
いや、違う。それなら、拘束する必要はない。
少女の腕には点滴のようなチューブが刺さっていて、その周辺には注射を刺し違えたような青あざが痛々しく残っていた。頭、首筋、脇腹、太ももの四ヶ所に導線が取り付けられており、頭から延びたコードは、掃除用具入れの天井を突き破り、隣のモニターとつながっている。
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