第6話

10年くらい前から

何故だかよくわからないが

"ニホン"と呼ばれる国?世界?から

"イセカイショウカン"とやらでこの世界に来た

勇者が私の城に攻めてくる。


確かにニホンから来た勇者は

この世界にいる人間よりも変わった技を使ったり

見たことがない魔法が使えたり、

やたらモテたりするが、魔王では私には到底及ばない。


その上、100年もの間、

この世界の勇者が魔王である私をあらゆる方法で討伐、封印を試みた。

そのため、あらゆる攻撃に対する耐性がついてしまい、

現在はほぼ無敵の状態になってしまった。


もその内の一つである。

何度もで斬られ、封印される内に

耐えれるようになってしまった。

10年前は封印されたフリをしていたが

最近は面倒くさいので演技をやめてしまった。


その結果、目の前の青年のような

ただただ絶望する者が続出する結果となったが

後悔はしていない。


私の問いかけに戸惑いを隠せない青年はハッとし、

私が足元に落とした剣を握る。

そしてもう一撃と私に斬りかかってくる。


しかし聖剣に耐性を持つ私にその攻撃は届くことはない。

斬っても斬っても傷口は即座に回復する。

痛みも感じない。

あくびも出てしまった。


~~~~~~~~~~


目の前の青年も一応勇者として数々の修羅場を潜り抜けて来た者。

攻撃が全く届いていないことに気づいたのであろう。

一旦距離を取り、青年は思考を巡らせる。


その結果とった行動は…


再び私に斬りかかり一心不乱に剣を振り回すことであった。


呼吸は荒く、目は血走っている。


万策尽きた…


というより「で倒す」以外の策を

考えていなかったのだろう。


やれやれと呟くと私は青年が振り回す聖剣を右手で掴み言い放った。


「もう満足した?

これ以上は時間の無駄だし、もうやめましょ」


視点が定まらないほど動揺している青年の呼吸は浅く、早くなる。


私は続ける。

「だいたい何故を使えば私を封印できるって

言い伝えを鵜呑みにしたの?

何故を使えば封印できるはずの魔王が

って考えなかったの?

そもそも何故私を…」


青年は失禁し、言葉にならない声を吐き出し始めた。

心が絶望に支配されている青年はもうまともに会話ができる状態ではない。


「あら?もしかして壊れちゃった?まぁ仕方ないか。」


青年は聖剣から手を離し、膝から崩れ落ちた。


「こんなものがあるか。君みたいな人が生まれるんだよね。」


それならばと

私はをへし折った。


「ここまで来たご褒美に仕方ないから痛みもなく消してあげるわ。

一応聞くけど来世はどうしたい?

ニホンの担当は確か、閻魔様ね!

良かったら伝えておくけど…」


「…ハハッ…ハハハハハハハハはh…」


「あらあら、壊れちゃったね。

とりあえずニホンに転生できるよう伝えておくわ。

もうこっちの世界に来たらダメだよ。」



私は左手で青年の頭を掴むと

魔力を込める。



「最後に一言だけ。

都合のいい解釈は身を滅ぼすよ。」



私はグッと左手に力を込めると青年は

跡形もなく消えた…

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