第5話

「どう?これで満足?」


私は目の前の青年に

ため息混じりに言った。


青年の表情は驚きと恐怖が

入り混じっている。


(この子もあそこから?)

と思い、でも大声を出すのも怠いので

私は一歩一歩青年に近づく。

青年の表情は一歩近づくごとに

恐怖に支配されていく。


途中ありったけの魔力を込めた光の玉を食らって

ちょっと痛かったけど、ここで痛がったら威厳がなくなると思い、

我慢した。


そして少年の前に立つと

額に刺さった剣を抜き取り、私は言った。


「どこから来たの?」

「…え?」


青年はマヌケな声を出した。

そして再び、でも最初とは違う

驚きの表情を見せ答える。

「…ア、アーセルの街…です。」


「あー、違う違う。」

私はやれやれとため息をつきながら、再び問いかける。

「“こっち”のじゃなくて…

どういえばいいかな…

単刀直入に聞くけど“ニホン”とかいう世界から

“イセカイショウカン”とやらで来たんじゃないの?」


「…え?なぜ日本を知っているんだ!?」


(やっぱりか…)

そして本日何度目かわからないため息を再びついてしまった。


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