第30話 三匹の魔物

「素直に引き渡してはくれないようですね。ではこうしましょう。そこののロボットと私たちの代表が勝負します。負けた方は勝った方の要求を受け入れる。いかがですか」


「受けてやる。お前達はぶっ飛ばす!」


 私は思いっきり叫んでいた。

 正宗の隣にいた夕凪も頷き、右腕の包帯をほどいていく。すると、その右腕から三つの黒い影が飛び出し、巨大化していく。

 それは巨大な白いフクロウ、青い大蛇、そして黒い巨大熊となった。それぞれが10mはあろうかという巨体、そして大蛇の体長は30m位あった。


「夕凪。やっておしまいなさい」

「はい、かしこまりました」


 夕凪の合図で三体の魔物は一斉に動き始めた。フクロウは空から、大蛇は地を這い、熊は走って襲い掛かって来た。

 セイバーのモニターではそれぞれがロックオンされ射撃準備完了と表示された。AIがアナウンスを始める。

『射撃準備完了しました。発射の指示をどうぞ』

「撃て!」

「撃っえぇ~」


 セイバーが腋に抱えたビームライフルから眩い光芒が三線発射された。

 ビームは三匹の魔物にそれぞれ命中し、それらは巨大な光球となって霧散した。

 夕凪の頭の上にはスズメ、肩の上にはハムスター、掌にはヤモリがいて其々文句を言っていた。

「あんな強いなんて聞いてないで」

「火傷したがな。どないしてくれるんや」

「追加料金もらわな合わへんで」


 政宗と夕凪は顔を見合わせる。

 美濃がアサルトライフルを突きつけた。


「分かった。僕の負けだよ。星子ちゃんの事は諦めるし学校も元に戻すよ」


 両手を上げて降参する正宗と夕凪だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る