第28話 決戦に向けて

 三谷の操縦する戦車が走り出す。砲手には羽里が付いた。田中は装填手として中に乗り込んでいる。美濃は砲塔の上から上体を出し、トリニティは砲塔の上にしゃがんでいる。


 私はというと、何と宇宙人より提供された人型機動兵器に星子と一緒に乗っているのだ。この配置が決まった時には羽里が思いっきり不満顔をしていたのだが知った事か。

 この、全長が10m以上ある人型機動兵器。黒い装甲を持つ、古代の重装歩兵を思わせるデザインをしたロボットに乗った星子は超絶ご機嫌だった。

「エリダーナ・セイバー発進」

「10時の方向敵機。対空砲射撃開始。てー!」

 こんな感じでキャーキャー騒いでいる。私の膝の上で。

 このセイバーは私の思考を読んで動く。訓練された兵士であれば自由自在に操れるのだろうが、私はそうはいかない。なんだかぎくしゃくしている。それでも重力制御を駆使して空中を浮遊し学校までたどり着いた。三谷の操縦する三式戦車も校庭に入る。学校の周りには人だかりができているのかと思ったが誰もいなかった。周囲の人も巻き込まれたのだ。


 私たちの乗ったエリダーナ・セイバーは唐突に闇の渦に巻き込まれ、そして知らない場所へ移動していた。三谷の戦車も一緒に移動していた。

 見渡す限り草原の続く場所。全く平坦ではなくなだらかな起伏がある。中央アジアのどこかだろうか。セイバーのモニターには位置情報不明との警告メッセージが表示されていた。

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