第20話 奴は怪しい

 もう一つ気になっていたことがあったので質問してみる。


「転校生に気をつけろって言われてましたけど」

「あの子怪しいでしょ。あからさまに」

「トッシー・トリニティ……」

「ええそうよ」


 その場に星子と羽里も頷く。この二人も怪しいと思っていたのだ。


「でも、あんな怪しい名前で何かするとは思えないのですが」

「さあどうかしら」


 美濃は笑っている。

 

「危険なら危険と教えてくれたらいいのに」

「あの子については何もわからないの」

「え?」

「だから、何もわからない。生年月日、本籍、両親の名前、その他色々」


 三人は顔を見合わせる。


「名前が変なだけじゃないのよ」


 正体を隠している。

 それだけのことをする何かが彼にはある。


 そういう事か。


 美濃は皆を車で自宅まで送ってくれた。

 危険かもしれないからと言っていた。



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