第4話
シャリーさんはためらうことなくどんどん衣服を脱いでゆく。
「ミナトさま?お脱ぎにならないのですか?」
「え?あ、うーん、心の準備が……。」
「私たちは女性同士、何も恥ずかしくありません。それに、ミナト様はスタイルがすごくよろしいと思いますけれど?」
湊ちゃんの体を見る。うん、女の子って胸で足元が見づらいのか……。女の子にならないと分からないことも多くて新鮮だ。じゃなくて!でも、ここで肯定してしまうとすごく嫌な子みたいに思われるから
「そ、そんなことないよ。」
「そんなご謙遜を。私よりスタイルが良いではないですか。」
悪戯に微笑むシャリーさん。ちょっと可愛い。
とりあえずこのままでは平行線なので、上着を一枚脱ぐ決心をする。
「ぬ、脱いだぁ。」
鼓動が高まる。だって、これ、湊ちゃんなんだぞ。好きな子の裸が見られる状況なんだぞ。
「ふふ、おかしなミナト様。」
するとシャリーさんは下着に手を付け、一糸纏わぬ姿になる。
「ふわっ!?」
思わず手で目を隠す僕。し、刺激が強すぎるよ。見たいけど、見れない。
「ど、どうされましたか!?」
「な、何でもない!」
「私が居ると脱ぎずらいですか?」
ちょっと困った顔になったシャリーさん。
「では、私は先にお湯をいただいていますので、あとからいらしてください。」
そう告げると一人扉を開け、浴場へと消えていった。
「ど、どうしよう……。」
僕の今の状況は、上はブラジャーのみ。下はスカートと下着。ここであることに気付く。
「ブラジャーってどう外せばいいの?」
誰にでもなく言葉に出す。確か、後ろにホックがあるんだっけ?背中に手を回す。フックの形をイメージして左右にとりあえずスライドさせてみる。
プチっといい音がして肩ひもが緩む。
「と、取れてしまった……。」
心臓の鼓動が高まる。真横にある鏡に目を向ける。
「み、湊ちゃん……。」
湊ちゃんの半裸状態が鏡に映されている。
「ごめんっ!!」
鏡から目を背け、下着に手をつけ一気に脱ぐ。そしてスカートもさっさと脱ぐ。
「いざ!」
浴場への扉を開け放つ。
「あ……。」
心地いい熱気が伝わり、あたりは湯気で少し
「あれだけ躊躇っていたのに早かったですわね。」
クスクスと可愛く笑うシャリーさん。
「覚悟を決めてた。」
苦笑いする僕。お湯は緑色をしていて、好都合なことに不透明。お湯の中は見えない。
「気持ちいい。」
丁度いい温度。癒される。
「そうですね。一日の疲れは、やっぱり入浴ですね。」
「そうだね。」
……。実は相当無理して平然を装っている。女の子とお風呂とか、まさかこんなに早いタイミングで僕に訪れるなんて思ってもみなかった。
「ミナト様?」
「ん?」
「ミナト様は神殿のすぐそばの森に倒れていました。一体何をなさっていたのですか?」
「え?」
記憶がない。
「ご、ごめん。覚えてない。」
「まあ。」
僕自身も分からないことだらけだ。シャリーさんにはこの世界に来た状況を話しておいたほうがいいだろうか?
でも、正直シャリーさんが味方であるという保証はない。何も知らないのだ。
「記憶が無いのですね。」
心配そうに僕を見る。
「聖者は弱き者の味方です。例え、正体が分からずとも私の
つまり、しばらくは泊まっても平気ということのようだ。寝床が確保できるのは助かる。その間に状況の確認もしないといけない。
「ありがとう。お世話になります。」
軽く頭を下げると、シャリーさんは首をかしげながら優しく微笑んだ。
丁度そのタイミングで、扉の外から声がかかる。
「お姉さま?私も一緒に入っていいですか?」
女の子の声。
「ルカ?ちょっと待ってね。」
すると私を見る。
「ミナト様、私の妹もご一緒させていただいていいですか?」
「い、妹っ!?」
これが現実なら天国じゃないか……。一日に三人の女の子の裸を見れるなんて……。
「ど、どうぞ!」
即答する。僕は衝撃的なことが多すぎて逆に平静さを取り戻しつつあった。
「ルカ、いいわよ。」
「はーい!」
「ルカちゃんってどんな人?」
僕は素朴な疑問で予備知識を求める。
「ルカはちょっとおてんばですが、優しくて、特に人の心の隅を色で感じる力に長けているのです。将来、きっといい賢者になりますわ。」
え?心を読むのか?それはまずくないか?
「へ、へぇ。」
僕が実は男ですってなったら一体どうなるんだろう……。魔法で消されかねない。せめて
しばらくすると、扉が開かれる。
「えっ!?」
小学生?とても小さく見えるけど。あ、いや、体格が。
「シャリーさん、ルカちゃんっていくつ?」
「年齢ですか?19です。」
「19!?」
嘘だろ。見た目は小学生みたいなのに……。これが俗に言うロリ可愛い属性……なのか。
「あなたが今日倒れてたお姉さんね?」
「う、うん。は、はじめ……まして。」
一糸纏わぬ姿だから、すごく目のやり場に困る。
「ん?」
ルカちゃんが少し難しい顔になった。
「え?」
「何か黒い色が見える。何か隠してるわね?」
「えっ!?そ、そんなことないよっ!?」
まずい!
「こらルカ!ミナト様に失礼よ。」
「ごめんなさい、お姉さま。」
え?驚くくらい素直に言う事を聞くんだ?この子、性格はいいのかもしれない。
とはいえ、ここはかなり用心しないと男だとばれたら大変だ。落ち着いたと思いきや、またも緊張の一瞬が訪れてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます