思春期に思うこと。 juice is what I need

黒犬

昼間の戯言

 人生はジュースである。

氷を入れないとジュースはジュースではない。

コップに半分よりちょっと上まで注いで、4,5個の氷をこぽこぽっと入れる。

最後に長めのストローを入れて、完成。

問題はここからだ。

このジュース・・・、美味さに制限時間が用意されているのだ。

ストローを回してからころと氷の鳴る音を楽しみたい私はよく真夏の風鈴のように

からころ、からころと氷のぶつかる音を楽しんでいる。

だが、味のある飲み物の中で氷を混ぜるという行為はあまり許されていい行為ではないのだ。

なぜならば、すぐに「ジュースが不味く」なってしまうからである。

そんなこと当たり前なのだから最初から冷えたジュースをすぐに飲めばいいと

私の周りの人は言うが、それは間違いだ。

よく考えてみてほしい。「たった数秒で終わってしまう幸福」にどれだけの価値が

あるというのだ。

できることならずっとそのままでいてほしいのだ。

ずっとずっと美味しいままでいてほしいのだ。

そして氷に冷やされたものでなければ嫌なのだ。

それに・・・・氷が入れば「かさ」が増す。

そうしたら、どうだろうか?ジュースがより少量で、かつ

「いっぱい入っている状態」を長く長く楽しめるではないか?


小さなころは、ぬるくてよかった。別に。冷えてないとか、気にしてなかった。

むしろ進んで美味いジュースに氷という「水の塊」を入れる大人たちのことを

非常に疎んだものだ。ジュースを飲もうとしているというのに、なんで

あんな味もしない固形物を入れてしまうのかが理解できなかったのだ。


水をたす。かさをます。冷やして、手っ取りやすくいい状態で飲もうとする。

これは、人間が人間である所以なのであろう。


人は夢の中で生きているものであろう。

きっと誰しもが「自分のいい部分」というのをわかっているのだ。

悪い部分もきっとみんな知っているだろう。でも、

『いつかはきっと』自分がいい部分でいっぱいになるのだろうなどと考えているに違いない。

みんなはきっと、「夢を見ている」のだろう?

自分のいい部分だけを見て、他人にもその部分だけを見てほしくて。

ずっとずっとそうやって自らを偽っているから、

気づかぬうちに、自分が「いい部分でできている」「いい人間」なんだという

考えを持ち始めるのだ。


紙パックを開け、オレンジジュースをコップに入れる。

これは、自分が自分である意識を持つことと同じだ。


コップに入ったジュースの中に、氷という「無味の水」を入れる。

これは、苦労した人が、自分自身を見失ってしまうのと同じだ。


すべてのことは、きっとつながっているのだ。

だから、無駄なことなど何一つはないし、

死んでもいい人間なんて一人もいないのだろう。

私たちがやらなければならないのは、薄まるジュースにそっとお替りを注ぐこと。

つまり、努力をしないといけないってことなんだね。

それが人生だ。


だから、僕は、最後にこう言うよ?


『人生とは、ジュースの継ぎ足しとほとんど変わらない。』


















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