第2話:序列ランキング登録
『ところで名前を教えてくれないか? いつまでも君と呼んでいられないからなぁ……。』
『私に名前なんてないよ。さっきも言ったけど私は君の中に内在していた"セル"の塊。君が主人で私はそれに従う僕に位置するんだ。そして、この世界では主人が僕に名付けをする暗黙のルールが存在するって訳なんだ!!』
『つまり、俺が君の名前を考えればいい訳か。』
『そゆこと!!』
『何か付けて欲しい名前はないのか?』
『う〜ん………。ない!!』
これは困ったなぁ……。名前を付けた経験なんてないしなぁ……。適当に名前を付ければ今後の生活で死活問題になり兼ねないからなぁ。………………………運命? ここは運命の女神パルカの世界。運命は英語でdestiny(ディスティ二ー)…………。
『運命という意味でディスティア何てどうだ?』
『運命……ディスティア…………。いい……いい名前じゃない!! とても気に入ったよ!!』
『そ、それは良かった……。ところで俺の名前……………。』
『レジス!! 抵抗するという意味からとってレジス!! 君の名前はレジスって呼ぶことにするね!!』
勝手に俺の名前を……さっきまで言ってた暗黙のルールをそっちのけかよ……。まぁいいか。小林月影なんてショボくれた名前よりも幾分マシか……。
『それじゃあこれからよろしくな!! ディスティア!! 』
『これからよろしくね!!レジス!!』
こうして俺はレジス、"セル"の塊であるこの子はディスティア。運命に抵抗する者達、ディスティア&レジスという名前に決定したのだった。
『ところで俺たちはこれから何をすればいいんだ?』
すると、ディスティアが指パッチンをすると小さな黒煙と同時に世界地図が出現した。その地図の中心に描かれている大都市らしき場所を指差し淡々と説明を始めた。
『序列ランキング登録をする為にこの世界の中心に位置する最大の都市、エルシオンに行かなければならないの。そうねぇ…………ここからだとかなりの距離があるわね。歩いて2ヶ月………。』
『2ヶ月!!!! それまでに野垂れ死にそうなんだが………。』
『っていうのは嘘で"一瞬"で行けるから安心して。』
さっきまで俺が主人って言ってたけど殆ど関係ないなこの調子じゃ……………うん??? "一瞬"???
『"一瞬"っていうのはどうゆうことだ?』
『つまり、こういうことよ!!』
すると、ディスティアの身体が黒煙と化し俺の身体を一瞬にして包み込んだ。
いく秒か経った後、徐々に黒煙は晴れていき元のディスティアの身体へと戻っていった。
『ここは………………!?!?!?!?』
『ここがこの世界の中心にある最大の都市、エルシオンだよ。』
俺の眼前に広がっていたのは…………あえて表現するならば未来都市。床は大理石のようなもので敷き詰められ砂や土といったものは一切存在しなかった。立ち並ぶ建物は鉄や金、プラチナのようなレアメタルらしき物質で建設されていた。車の類のものはなかったが先程ディスティアが見せたあの移動方法があるからして必要が無いのだろう。周囲には覆面をつけ行動する者、付けない者、集団で行動する者、多々それぞれだった。今まで住んできた世界とはまるで別世界だったので俺は只々立ち尽くすしかなかった。
『どう! これがエルシオン!! レジスが住んでいた世界とは全然違うでしょ!!』
『あ…ああ……。凄すぎて過呼吸になりそうだ……。』
『さぁ、早速序列ランキング登録をしに行きましょう!!』
『あ…うん……。』
ツヤツヤした綺麗な手でディスティアに引き連れられ歩いていく。途中からはエスカレーターのような全自動で動く地面で進んでいき、しばらく進んでいると入り口上部に大きなモニターが取り付けられた、巨大な建物に入っていった。建物内はノリの良い曲が流されていて周囲に踊っている者、舞台の上では歌っている者、ラップ勝負らしきことをしている者などがいて、元の世界で絶望的な人生を歩んできた俺にとっては温度差があった。全自動で動く地面の終着点前部には円状のカウンターがあり恐らくここで序列ランキング登録を為すと予測した。
『よいしょっと! ようやく着いたー!! さっさと登録を済ませましょう!!』
俺たちは終着点から真っ直ぐ進んだ最短の受付台を選択した。そして、ディスティアが受付台の奥に立っていた巨乳のお姉さんに話し掛けた。
『すみません。私たち先程、この世界に来たばかりの者なんですけれども……。』
『あ、はい!! 序列ランキング登録ですね!! お2人のお名前を教えていただけませんか?』
『僕の私がディスティアでこの冴えない男の方が主人のレジスだよ!!』
おい!! 今ちゃかり本音が聞こえたような気がしたんだが、ディスティアさん!! 自分の化身にまで冴えない男と言われると心が凄く痛むぞ………。
受付のお姉さんは宙に浮遊する映像を目にも留まらぬ速さで操作を始めた。
『ディスティアさんとレジスさんですね!! 登録完了しました!! 』
受付の黒髪のお姉さんが2人分のピアスを俺とディスティアに手渡した。俺のピアスは太陽の形状をしていてディスティニアの方は月の形状をしたピアスだった。俺はディスティアを真似るようにして耳にピアスを装着した。そのピアスには針が無く、ただ耳に挟むという仕様だったので痛みを感じることはなかった。装着したことを確認した受付のお姉さんはニコやかに話しだした。
『今から序列ランキングのルールについて説明させていただきます。長くなりますのでよーく聞いておいて下さいね!! 1 : お2人の順位は5万位からのスタートになります。2 : 戦闘は1日1回になります。3 : 戦闘に勝利すると資金入手と連勝記録が成されます。4 :戦闘に敗北すると資金減少と敗北記録が成されます。5 : 1万位毎に順位が上がることで僕の服装が独自のコスチュームに変化していき独自の能力が付与されていきます。6 : 食事はこの都市のあらゆるところで無料で配布しています。7 : 月に一度税収を行います。8 : ベスト5位に入ると町や村の支配権と税収権が与えられます。9 : 1位にはエルシオンの支配権と税収権、機密の権利が与えられます。10 : 戦闘を行う際、戦闘の種類は運命のダイスに記載されたものになります。11 : ダイスを振る権利は低順位の者に有り、ダイスの内容はその者に合わせた順位の戦闘内容になります。12 : 禁忌を犯した者には罰が与えられます。以上で説明を終わらせていただきます!!』
うん? 最期の12のルール、なんか嫌な予感がするんだが…………。
『すみません、12のルールの罰はどんな内容ですか? そして、罰に当たる基準は何ですか?』
『私たちも存じておりませんのでお答え出来ません。』
??? 何か引っかかるがまぁ…今は深く考えないようにしておくか…………。それよりもディスティアが隣で寝ているのだが………。
俺が肩を揺さぶると大きく両腕を広げ目を覚ました。
『うーーん! はぁーー! ごめん、ごめん。私たち僕はこの世界の基本知識は把握しているから眠くなっちゃって、ははは!』
俺がこの世界に来た時にも淡々と説明をしてくれていたし納得がいく。だけど、やっぱりディスティアが俺の中にある"セル"で作られたとは到底思えないな。この性格を見る限りは…………。
『それでは、戦闘ライフをお楽しみ下さい。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご覧いただきありがとうございます^_^ ブクマや感想などもよろしくお願いします^_^
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます