運命の世界『パルティシオン』
ビスケ
第1話: "不幸"が美少女になった???
俺はとある海岸にある、崖際に立ったいた。
何故、崖際に立っているかって? 君達も察しているだろうが俺が自殺をする為だ。今まで生きてきた人生はあまりにも不幸過ぎた。(生きているだけで不幸とか言うな!! お前よりも不幸奴はいっぱいいる!!)っと野次を飛ばしているだろうがその次元の不幸を言っている訳ではない。生きていることが不幸なのだ!理解し難いと思うがそのままの意味で捉えて欲しいって、俺は頭の中で何を自問自答をしているんだ。等々自殺を前にして頭がおかしくなったか。そろそろ覚悟を決めろ!怖気付いたか!
一歩、そしてまた一歩とゆっくりと小さな歩幅で歩ませる。
そしてついに、片足が宙に浮いた……。
ああ…もうすぐ俺の人生が終わりを迎える。せめて両親の顔ぐらいは思い出したかった……。
すると、ポツ、ポツポツ、ポツポツポツポツポツ、ザァザァザァー と俺がいる周辺を豪雨が唸りを上げだした。
ハハ、自殺を前にしてもこの有様だ。俺はとことんついてない。はぁ…。それじゃあ、消滅のカウントダウンでも始めるか。
『10…9…8…7…6…5……4………3…………2』
雨の影響で立っていた足場が崩れ、空が足場になる。そして、波の音と共に俺の頬に海風が吹きつける……。
『自殺のタイミングすらも選ぶことさえできないとは……だけど、この人生もこれで最後だ。さようなら、不幸な人生を歩み続けた俺。来世ではもっとマシな人生を送り………た………い。』
そこで俺の記憶は途切れてしまった…………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気づくと俺は白い空間の中にポツンと1人で立っていた。空間という概念すらもないくらい果てしなく続いていて自分という存在がいかにちっぽけな存在だということを思い知らされた。
ここがあの世…なのか? 俺が想像していたイメージとは違うが……おそらくそうなんだろう。
突如、俺の目の前の空間が歪みだし、そこから1人の少女が出現した!!
ああ…この人が俗に言う閻魔大王なんだろうな。どうせ、俺は地獄行きなんだろうなぁ……。
すると、空中にフワフワとあぐらをかきながら白髪の少女が本を片手に話しだした。
『小林 月影、19歳。生まれてから一度も運というものを感じた経験なし。物心ついた頃には多大な借金を抱える。小学校に上がった頃に両親を目の前で殺害され、そのショックの影響で記憶を失う。その後、施設に預けられたが火事が起こり自分以外は皆死んでしまう。中学、高校に入るが不幸が移るという理由でクラスメイトから虐めを受け避けられる日々を過ごす。高校を卒業し就職するが必ず問題を引き起こし、解雇される毎日。フリーターになり崖から身を投げ死亡。』
なんで俺が記憶喪失だってことを知っているんだ?? それに記憶を失う前の出来事は俺以外知り得ない筈だ。
『だって私は運命の女神だから、そのぐらい知ってて当然だよ。』
『俺の心の声が聞こえるのか!?』
『まぁね! そういや、自己紹介がまだだったね! 私の名前はパルカ! 運命の女神パルカっていうんだ。』
『閻魔大王じゃなかっのか……。』
『閻魔大王なんて存在しないよ。死んだものは私によって異世界に飛ばされることになってるんだ。』
『異世界だって!? 異世界なんて行きたくない! またあんな人生を歩むなんて嫌だ!!』
『君には不幸という才能があるんだ!!』
『才能? 笑わせないでください。不幸が才能なんて聞いたこともない!!』
『私は君の才能に驚いているんだよ。全ての生物には"ソル"と"セル"つまり君達の世界で言う”幸運"と”不運”が内在しているんだ。どんなことをしてもこれは覆らない。しかし、君はどうだ!! 君の中には"ソル"が存在しない。それどころか、この私でさえ君の"セル"の膨大な量を図ることが出来ない! 運命の女神と言われる私でさえ知り得ない事実なんだ!!』
『へぇ……それって褒めてるんですか……?』
『勿論、褒めているとも!! そして、今後の君に期待しているよ!!』
『今後に期待??』
『そう、私はこれから君を異世界へ飛ばす。その世界は"ソル"と"セル”を具現化し化身を生み出すことのできる世界。そして、それを使って勝敗を分ける。つまり"幸運"と"不運"が個性として扱われる世界なんだ!! そんな世界に"セル"の塊である君を転生させたらとても面白そうで今にもイッチャイそうだよ!!』
『少し待ってくれ……。個性として扱われる世界? それを使って勝敗を決める?? 漠然とし過ぎて理解出来ない!』
『まぁ……こんな所で立ち話をしていても仕方ない。実際に自分自身で確かめるといいよ……。』
俺の周囲を黒い煙が包み込む。
『ちょ…待って…くれ。まだ色々聞きたい…ことがあるんだ!!』
『安心して、その世界では生活自体は普通にできるから楽しんできてね……それじゃあ、またね!!』
『何なんだよ……それ……。』
再び俺の意識はそこで途絶えた………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気がつくと俺は仰向けで何かの上に倒れていた。小さく弾力があるものが2つあり、その間に後頭部を密着させていた。そして、俺はそのうちの1つを片手でムニュっと掴んだ。
『マシュマロ? スポンジ? いや、違う。今までこんなもの触れたことがない。何だ?』
更に強く握るとそれと同時に『ア……!!!』
と喘ぎ声が耳元で聞こえた。嫌な予感をしながら起き上がり後ろを振り向き確認するとそこには黒い衣に身を包んだ少女が寝ていた。
何だこの女の子は? っていうか俺、知らず知らずに思いっきり握ってしまった……。
紅蓮の瞳をした少女は目を擦りながら大きなあくびをする。
『ふあぁ〜〜。よく寝た、よく寝た。むむむ?? 気がついたみたいだね。』
『君は一体??』
『私は君だよ!! 正確に言えば、今まで君の中に内在していた"セル"の塊なんだけどね。』
そういえば、パルカっていう神様が"ソル"と"セル"を具現化し化身を生み出すとか何とか言ってたな……。
『つまり、君は俺の"不運"の塊なのか?』
『そゆこと!! そして、この世界はその人に内在する"ソル"と"セル"の大きさによって化身の強さが決まる。"セル"の塊である私はこの世界では異質なんだよ、ははは!』
本当に俺の中にいた"不運"の塊なのか? 俺はこんな性格してないぞ。それに妙に可愛いし……。ていうかちょっと待てパルカが勝敗を決めるとか言ってたよな……。
俺は眠そうにしている白髪の少女に問いかけた。
『パルカっていう奴がこの世界で勝敗を決めるとか言ってたけど、どういうこと何だ?』
『この世界には君と同じように異世界から飛ばされた人々や先住民がいるんだ。そして、その人達も"ソル"と"セル"によって作られた化身、つまり私みたいな存在を1人持っていて戦わせるんだ!! 戦闘に勝利すれば序列ランキングが上がったりお金なんかも貰えちゃうんだよ! 楽しそうでしょ!!』
『序列ランキングって?』
『この世界に存在する町や村の掲示板にリアルタイムで更新されるランキングのことで連勝していけば上位に入ることが出来るんだ!! ある一定の上位に入り込めば町や村の税収権や支配権なんかも貰えちゃうんだ。』
『へぇー全然楽しそうに聞こえないな。』
ていうかこの子に気を取られていたけどこの世界は何なんだ!!!!
空を見上げると幾多もの巨大な電球が天井に埋め込まれていてまるで巨大な四角形の部屋のような世界が広がっていた。地面はデジタルいや、機械で構築されて周囲を囲んでいる木々も金属で作られていた。すると、何処からともなく聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『序列ランキングが更新されました!! この調子で皆さん頑張ってください!!』
『この声はパルカ!!』
『そう!運命の女神パルカ様だよ。一日に数回アナウンスが入るんだよ。』
『ここはあいつの遊び場かよ!!』
『ちなみに上にある電球の明かりだけど11時間は朝と昼の役割で照らし続け、2時間は夕方扱いでオレンジ色の光になって、残りの11時間は明かりが消える仕組みになっているだよ。』
何だそれ、無茶苦茶な世界だなここは。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご覧いただきありがとうございます^_^
暇つぶしに程度に作ってみました。連載するかは分かりません。よければ感想などよろしくお願いします^_^
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます