白石隆史
Kは女性を痛めつけるのが上手な男だった。心を開いた男性にしか見せない肌に傷をつける。
そして、Kが何の罰も受けずに今ものうのうと生きていると聞き、激しい殺意が湧きあがった。絶対に許せるはずがない。この世にいてはいけない人間だ。純子と同じ目にあっている人が今もどこかにいるかもしれない。探し出して殺す。そう言った。
でも彼女はそれを望んではいなかった。復讐より心の癒しを求めていた。
俺は純子を守って生きる道を選んだ。
純子の傷にそっと触れた。六畳一間のアパートの真ん中で、俺は純子への愛を誓った。この部屋で二人、静かに暮らしていこうと。俺たちは泣きながら抱き合った。
しかし数年後、Kが再び純子の前に現れた。ある日アパートに帰ると、部屋の中から激しい物音が聞こえてきた。慌ててドアを開けると、部屋の隅で
俺は『
俺は刑務所に入った。
塀の中で毎晩悩んだ。彼女が罪悪感に
面会室。透明のアクリル
俺はまっすぐ彼女の目を見ることができず、自分の指をただじっと見つめていた。
彼女は
「隆史、目を伏せないで。私の目を見て」
純子はそう言うとサングラスを外して目を閉じた。まぶたにはアルファベットのBが書かれていた。
再び目を開いた彼女と目が合った。俺は頷いた。サングラスをかけなおした彼女が近況を話し始める。俺は
白を待つ黒 倉田京 @kuratakyou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます