ぬこ
君のお迎えがあってから1ヶ月程あとのこと。
君と一緒に散歩をしていた時、猫を見かけた。
「あれはなに?」
君は猫のことを知らないみたいで、ボクの袖を引っ張りながら、そう聞いてきた。
あれが猫だということを教えてあげると、君はねこという単語を何度も口に出して覚えようとしていた。
途中からねこがぬこに変わっていたのは可愛かったから、そのままにしておいた。
「ぬこはどんなの?」
君は
口で説明するよりも見た方が早いだろう、ということで近くの猫の集まる猫屋敷と呼ばれる家に向かった。
この場所には野良猫がよく集まる。
野良猫と言っても、この家の持ち主さんに懐いており、よく体を洗われているのを見かける。
猫が自ら水に入っていく姿は結構珍しいのではないだろうか。
ボクと君は猫屋敷の持ち主さんに了承を得て、庭に入らせてもらった。
庭には予想以上にたくさんの猫がいて、どの猫も新しく入ってきたボクらのことをじっと見ている。
「これ、みんな猫だよ」
「ぬこ、たくさん」
「猫はもふもふしてて、可愛い生き物なんだよ」
「ぬこ、かわいい……?」
すると、1匹の猫が彼女の足元に擦り寄ってきた。
「ぬこ、かわいい……!」
君は一瞬で猫に惚れたようで、擦り寄ってきた猫を抱きかかえてもふもふし始めた。
猫がにゃーにゃーと気持ちよさそうな声を出す。
それを聞いた、見た猫たちが彼女の周りに集まってきてまるでもふもふされる順番待ちをしているようでとても愛らしかった。
帰り際、猫たちが門を出て行くボクらを見つめながら、「またこいよ」と言ってきたような気がした。
多分気のせいだ。
その日の夜のこと。
君のために注文していた猫耳パジャマがちょうど届いていた。
君に着るように勧めてみたが、君は恥ずかしそうに首をブンブン振って、嫌だと言われてしまった。
君が寝たあと、こっそり様子を見に行ったら、猫耳パジャマを来て寝ていたのを見てしまったことは内緒だ。
そのツンデレにほっこりした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます