始まりの終わり

彼女が家に居候することになってから数日後、彼女の家を探すために警察に届けを出した。

彼女は届けを出すと言ったらとても反抗していた。

やはり彼女は『帰る』ということにトラウマがあるのだろうか。

でもボクからすれば彼女を心配しているであろう両親の為にも、彼女に早く帰ってもらいたい。

だからボクは、「君とボクはしばらくの間、居候する、させるだけの関係。それ以上でもそれ以下でもないんだ」と言った。

彼女はほんの少し悲しそうな顔をした気がしたが、気のせいかもしれない。


その数日後、彼女はボクが学校へ行くのに着いてきてしまったことがあった。

先生や友達に、『居候させてあげている女の子』だなんて言える訳もなく、知り合いの娘ということにしておいた。

君は実際可愛かったから、クラスの女子たちにベタベタされて、少し嫌そうな顔をしていたのを覚えてる。

学校から帰ったあと、叱ろうかと思っていたけど、君が「お兄ちゃんの行ってるガッコウがどんなところか知りたかった」なんて言うから、怒るに怒れなかった。

ちなみに、『お兄ちゃん』というのは、学校でのボクの設定が近所のお兄ちゃんだったからそう呼ぶことにしたということらしい。


でも、それまで一歩も外へ出ようとしなかった君が自分から外へ出たのは、大きな成長だと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る