元ゼータナベラ立国
元ゼータナベラ立国の近くにある大きな街。"ライヤー"はとても珍しい街である。
今の人間は協力をせず、一人で生きていくために国を持たなかったが、ここ"ライヤー"は人が寄り添い、助け合って生きている街である。
この街を支配する領主がいて、お金という制度があって、法律があって、住民がいる。
協力しあって生きているのだ。
「そういえばアインさんはどこに向かっていたんですか?」
「僕はこの先にある元ゼータナベラ立国に用があってね」
「ゼータナベラ立国……」
二人は今"ライヤー"の検問所まで来ていた。
「なんだお前………もしかしてゲルニアか?」
「……ライツさん?ですか?」
「ゲルニアか!!本物か!!ははっ!!」
ペタペタとゲルニアの体を触るライツと呼ばれた者。
アインことフラは少し警戒しながらライツに近づいていく。
「ゲルニア、この人は誰だ?」
「この人はアインさんっていう人で僕の恩人なんです」
「そうなのか……」
ライツはフラへと顔を向けると頭を下げた。
「すまない。俺らがしっかりしていないばかりにゲルニアをこの場所から追い出しちまった。それを助けてくれたお前さんには感謝しかねぇ。本当にありがとう」
フラは呆然とする。こんなことがあるのかと。
「ここは俺が黙っとく。そうすりゃ領主の野郎には伝わらねぇ。ゲルニアもここで暮らせる」
フラの様子に気づくことなく、ライツは続けていく。
「ありがとうございます。ライツさん。……どうしたんですか?アインさん?」
「え?あ、いや何でもないよ」
ゲルニアは少しだけ不思議そうにしていた。
「お前さんの家はまだ残っているが、そこに暮らすのはやめておいたほうがいい。俺の家に来い」
「すみません何から何まで……ありがとうございます」
「気にすんな」
フラは会話からこの男の家にゲルニアは泊まるらしいと把握した。だが、フラはどうなるだろうかと疑問に思っていた。ここの金もないし、ツテもない。フラが頭を抱えていた時、ゲルニアが言った。
「ほらアインさん行きましょう」
「行くって……何処に?」
「ライツさんの家にですよ。アインさんもそこで暮らすんですから」
どうやらフラがライツの家で暮らすのは当たり前だったらしい。
ライツが何もなかったかのようにゲルニアを通して、警備に戻る。
ゲルニアは戻ってこれたことが嬉しいのか、駆け足で向かっていく。
途中、ゲルニアを見て驚く人がいたがゲルニアは気づかなかったらしい。
そしてついたのは少し大きい家。四人暮らしなら平気ぐらいの大きさだった。埃が少し目立つがそれでも十分な広さはあった。
「ここがライツさんの家です。昔っからここで遊んでたんですよ」
「ライツさんとは知り合いなの?」
「はい。親を亡くした僕たちをずっと気にかけてくれたんです」
フラはその言葉を聞いて少しだけライツのことを信用することにした。信用しているフラの言葉だ。ある程度は信頼するべきだと考えた。
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