魔法等の説明


魔法は主に二つに分かれる。

一つが"保護魔法"。

もう一つが"属性魔法"とも呼ばれる"付与魔法"。


保護魔法は別にものを硬くしたり、頑丈にするものだけにとどまらず、例えば先ほどフラが屋敷で使ったあの魔法陣は、速度を急激に早くするという魔法だったが、それも保護魔法に含まれる。

要は物体に対し、影響を与えるものを全て保護魔法と呼ぶのだ。


次に属性魔法。もとい付与魔法だが、これは物体に火、水、土、雷、風の五つの属性を付与する魔法だ。


剣に火の付与魔法をかけるなら火を纏う剣となり、弓に雷の付与魔法をかけるなら、電気を帯びた矢となる。


ゲームなどでは火の付与魔法にはいくつかの詠唱等があったり、ファイアーボールといったふうに個々の魔法があるが、この付与魔法はそうではない。


付与魔法は火を出すだけで、個々に名称もないし、詠唱などないのだ。

例えば丸い火を出したいのなら、付与魔法をかけた後、その魔法を使った者が火を操り、丸く制御しなければいけない。


つまりなにが言いたいかというと、最初から決まった魔法があるわけではなく、個人それぞれのイメージで魔法が作られるということだ。


上級者になると、雷と火を同時に使ったり、雷で相手をうまく麻痺させる程度の威力だけを出すことができる。

また、水を龍の形に変化させたりすることもできる。

どれだけ精密に魔法を扱えるか、それが魔法をうまく使える者の基準である。






賢者バッカスは過去最強と言ってもいいほど魔法の扱いがうまく、強かった。

頭も良く、機転がきき、フラはいつもバッカスに助けられていた。

今もそうだ。フラが身につけているネックレスのおかげでフラは生きていると言っても過言ではない。


フラ自身は気づいていないが、蔓延する毒ガスよりも強力ななにかからフラを守っているのだ。
















ここは元魔王城。かつてあったおぞましい雰囲気はそのままに、この場所は瓦礫の山となっていた。

黒く湿った空気が、異様に広がっていた。


何処かで瓦礫が崩れる音がする。

元魔王城の中心部の瓦礫の山から一本の手が生えていた。それは白く、細く、今にも折れてしまいそうな手だった。


もう一度瓦礫が崩れる音がする。白い手の後に出てきたのは黒い布。

手は近くにあった岩を片手で、掴む。ビキビキッ、という音とともにその岩にヒビが入り、粉々に砕け散った。

その岩が邪魔だったのだろうか。今度はスムーズに動き出した。


出てきたのはタキシードをき、ハロウィンで出てくるカボチャを被った者だった。

タキシードは瓦礫の中にいたとは思えないほど綺麗で、カボチャは口元がギザギザに掘られていて、奥は黒く、闇に包まれていた。

目の部分は四角くなっていて、そこから見える眼球に値するであろう場所からは赤いきらめきが見えていた。


「やっと目覚められま死たか。長かったDEATHね」


自身の体を壊れ物を触るように確かめる。


「さっさと他の者も目覚めませんかねぇ」


その目線は元魔王城の瓦礫の中に向いていた。

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