街の外


(転移したら十年後の未来で魔法が使えなかった件……………………全然面白くないな…)


フラは一人街の外でテントを張り、昼飯を食べていた。

なんとなく思いついたボケを心で出してみるが、自分でもないな、と思い考えるのをやめた。


フラは転移した後、その場所は転移した時から十年経った場所に転移していた。

そこでは前まではなかった銃と言う武器があり、何より魔法が使えなくなり、軌跡と呼ばれるものがありふれていた。

だが、周りのものは魔法が使えないと言うだけであり、フラは魔法を使える。ただ、使えない魔法も存在し、少なからずフラは弱くなっていた。

転移する前の約三分の一が今のフラの実力だ。あまりに弱すぎる、とフラは頭を抱える。


(そんなことを言ってもしょうがないか……)


たしかに弱くなったのは事実だが、どうこう言っても変わらない為、これから強くなろう、と決める。


(それにしてもあいつら……なんでラインハルトさん達が悪者扱いされなくちゃいけないんだ!!)


思い出すだけで腹ただしいほど、フラは怒っていた。

命をかけてまで滅亡を止めたみんなが悪者扱いされていることに怒っているのだ。


そして同時にこんな奴らのためにみんなは死んだのか、と言う気持ちもある。

こんな奴らだけがいるんだったらこんな世界は終わってもいいんじゃないか、という気持ちが。


「……はぁ」


ついため息が出てしまう。

顔を下に向けると、首から金属の音がした。

服の中から出てくるのは銀色のネックレス。賢者バッカスがフラに最後にくれた贈り物だ。


「これにいっつもお世話になってるな……」


バッカスがあげたそのネックレスには二つ魔法がかけられていた。


一つがあらゆる有害物質から身を守る保護魔法。これによって、この星全体に蔓延している毒ガスから身を守っている。


二つめは未だに何かはわからないが、何か魔法がかけられていることはわかっている。


フラはそれを手で回すと、もう一度服の中に戻した。


フラは自身の武器を整備するために、銃と剣を取り出した。

剣といっても小さなもので、そりのある三十㎝程度の大きさだった。

そして銃とは反対の、漆黒の色をしていた。柄もなにもかも全てが黒で染まっていて、光沢のあるそれはどこか人を魅了するような剣で、見ほれてしまうものだった。


その銃の名は"断罪ジャッチメント"。フラが愛用している銃だった。

剣は"星の輝きビーナス"と言い、これは知り合いに作ってもらった一級品だ。


見れば惚れ惚れするほどの美しさなのだが、それを持つフラの顔はどこか頬が赤かった。


(……は、恥ずかしい……)


実を言うとフラはこの銃と剣の名前を気に入ってなかった。


(…こんなもの……誰がどう見ても"厨二病"だよ!!)


フラが転移する前はこんな恥ずかしい言葉はなかった。そんなことを言えば暖かい目で見られたらするのが当たり前だったのだ。

だがここでは違う。


そんな恥ずかしい言葉が"カッコいい"のだ。そうかっこいい。人前でこの銃と剣の名前を言うと歓声が上がるほどだ。

何回かフラもそんな目にあっていて、二度と言わない、と心に決めている。

あまりにも恥ずかしすぎるのだ。








もちろん、作者も恥ずかしい。

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