第5話 一緒に生きたい

ジョエル様との恋愛を意識してから二ヶ月以上が過ぎ、異世界の事もだいぶ慣れてきた。と、共におしゃべりする機会も増えてジョエル様の事が色々わかってきた。

お優しくて、国の事を真剣に思っていらっしゃる事がわかる。

この方が王様に成られたら、更に良い国になるだろう……

私はジョエル様の事を尊敬しているし、好きにもなった。

でも、なかなか好きという事は難しい。人として好きなのか?恋人対象として好きなのか?どちらなんだろう……お好きなら告白されたらよろしのではと、ミラさんはいうけれど……相手は王子様なのよね……責任重大よね……なんて、今日も悩んでたらジョエル様がおいでになられた。

「おはようございます。ジョエル様。」

「おはようございます。真奈花様。」

二人して頬を染めて挨拶する。

ミラさんは私達を見て初々しいわ……と、つられて赤くなっている。

「真奈花様。今日は天気が良いですから外でお勉強いたしましょうか。」

「はい。気分転換に良いですね。」

「ミラ。あとで、お茶を持ってきてちょうだい。」

「はい。かしこまりました。」

「では真奈花様。行きましょうか。」

「はい。」

庭には赤やピンク等の色とりどりの花たちが咲いていた。

うわぁ……綺麗。こんな素敵な庭があったなんて気がつかなかった。

「喜んでいただけて良かったですわ」

ジョエル様は微笑んで言った。

「小鳥が鳴いているわ。」

「なんて綺麗な鳴き声でしょう」

ジョエル様と顔を見合わせてふふふと笑った。

「さぁ……今日は民の暮らしを勉強しましょう。民といっても色々ございますございます。まずは農家は家畜達を世話したり、野菜畑や果樹園等をしています。

商売人は衣類や家具、小物を売ったり、食堂をしたりとございます。」

「私の世界も同じです。」

「この世界の家畜には、豚牛という動物がいます。肉は臭みが無く柔らかくて美味しいです。それにミルクは濃厚でケーキ作りやチーズに適しています。」

へぇ……豚牛かぁ……豚の様な見た目で牛の様なミルクが出るのかなぁ……ちょっと想像して笑ってしまった。

「どうしたのですか?」

「いえ、あの……私の世界にも豚と牛が別々にいまして、合わせたら面白いと思って笑ってしまったんです。絵で描くと丸くて胴長で短い足に牛の乳がぶら下がっている感じです。」

「ふふふ。真奈花様ったら絵が上手ですわ……」

どうやらジョエル様のツボに入ったらしい。

私もつられて笑ってしまった。

ふふふふふ。ジョエル様はとても楽しそうだ。

私は、ジョエル様にずっと笑っていてほしいと思った。

「ジョエル様。私はジョエル様が好きです。ずっとあなたと笑っていたいです。」

「真奈花様。私、嬉しく思います。私もあなたが好きでございます。ずっと一緒にいて下さいませ」

「はい。ずっとジョエル様と一緒にいます。」

影で見ていたミラさんはガッツポーズをしていた。

「うふふ。今日はお祝いですわ……お茶うけは何にしようかしら……ケーキにクッキーにそれから果物。急いで準備しなくちゃ。ああ。忙しい忙しい。うふふ……。」

そんな事とは知らず、真奈花とジョエルは見つめあっていた。

「真奈花様。私はあなたに強いる事が多いと思います。国の為、非常な判断を下すかも知れません。それでも、一緒にいて下さいますか?」

「はい。ジョエル様と一緒に困難に立ち向かいます。辛い事も二人一緒なら乗り越えられます。」

「ありがとう真奈花様。」

そこへ、「ジョエル様。真奈花様。お茶をお持ち致しました致しました。」

たくさんのデザートがテーブルに並んだ。

「ミラさん。こんなにいっぱい食べられないわ……」

「ミラ。こんなにどうしたのかしら……」

すると、お二人のお付き合いのお祝いですわ……うふふ……と嬉しそう。

「ミラさん見ていたのね!」

「いやですわ。そばに控えていたので聞こえたのでございます。なので、お祝いでございます。いつ告白なさるのか、私、気が気じゃありませんでしたわ」

ミラの言葉に二人は顔を真っ赤にしてうつむいた。

「今日の夕食は報告会でございますね。」

「うふふ……真奈花様。頑張って下さいね」

うぅ……プレッシャーが……

「真奈花様。落ち着きましょう」

「えぇそうなんだけど……王様達に反対されたらどうしたらいいの……」

「大丈夫でございますよ。さあ、参りましょう」

「みな様こんばんは」

「こんばんは真奈花様。」

「あっあの……私、ジョエル様とお付き合いをさせていただきたく、みな様にお願い申し上げます。」

「ジョエル。お前はどうなの?」

「はい。私は真奈花様と一緒にいとうございます。一緒ならどんな困難にも立ち向かえると信じております。」

「そうか、わかったわ。真奈花様息子を宜しくお願い致します。」

「はい。幸せにします。」

二人は微笑みあった。

緊張した。これからどうなって行くんだろ……、きっと、いいえ、幸せになるのよ。

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逆転世界の過ごし方 サチヤ @sachiya040507

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