第3話 考え方が色々
翌日、ジョエル様に呼ばれて部屋に訪れた。ジョエル様の部屋は乙女、乙女してるのかと思ったけれど、さっぱりとした綺麗な部屋だった。
ジョエル様は私にソファーに座る様に言った。私が座るとメイドを下がらせ、自らお茶を入れてどうぞと差し出された。
うーん……私より女子力高いかも。女として負けた気がした。
そんな事を考えていたら、ジョエル様から話しかけられた。
「この世界をどう思われますか?」
「えっ?この世界の事ですか?」
「思った事を正直に話して下さいませんか?」
「この世界で驚いた事は女性がスカート、いや、ドレスを着ない事と、男性がドレスを着ている事ですね。私の世界でも男性が女性物を、女性が男性の服装好む方がいますね。そして、一部の男性が女性の心を持っているので、女性より女性らしい男性がおります。その方達は美容も去ることながら、普段から女性らしい言葉を使っていますし、しぐさも女性らしくて男性と気づかない場合もあります。ジョエル様の様にお淑やかに話す人もいれば、私の様に話す女性もいます。男性は、俺とか僕など男らしい言葉を使います。
大事な場面では丁寧に話すのは、男女ともに変わりませんが……」
「真奈花様の世界とは異なるんですわね」
「そうですね……私の世界とは違く、男性と女性の服装や役割りが違う様に感じられますね」
「そうなのね……私の世界では女性が子供を産んで、男性が子育てするのが普通なのだけれど、真奈花様の世界ではどうなのかしら?」
「私の世界では女性が子供を産んで、母親が子育てしますね。もちろん父親も協力して子育てしますけれど……その役割り分担も時代とともに、少しづつ変わって来てはいますけれど……」
「だからでしょうか、この世界に来て、多少違和感はありましたけれど……そういうものかと、思ってしまいました。」
本当は、多少どころじゃなかったんだけどね……。
だってそうじゃない?ハンサムな男性が薄化粧をして、ドレスを着てたんですもの!おネェと思ってもしょうがないじゃない!それにミラさんのヒゲ!ヒゲでメイド服なんてとても不気味……いや、複雑だわ……一人で考え込んでいると、クスクスと笑い声が聞こえた。どうやら、ジョエル様が笑っているらしい。
「真奈花様?本当はびっくりされたのではなくて?」
「えぇ……そうですね。まさか、スカートを履いている事で捕まるとは思いもしませんでした……」ふふふとジョエル様が笑った。
「あの……お世話に成るのにこんなお願いはどうかと思うんですが……私にこの世界の常識を教えて下さいませんか?」
「あらそうですわね。じゃあ、明日からでも勉強を始めましょうか」
「はい。宜しくお願い致します。」
やったぁ……思わず、心の中でガッツポーズして、お礼を言って自分の部屋に戻ったけれど、正直、お願いしたものの不安だった。
私に覚えられるかしら?それに会話はできるけれど、字は読めるかしら……
うーん……だけど、やるしかないわね。うん。頑張ろう。
翌日、ミラさんから、ジョエル様が部屋に訪れたと伝えられた。
どうしたのかと思っていたら、この世界の常識を教えて下さるとの事だった。
まさかジョエル様直々に、教えて下さるとは思いもしなかったので驚いた。
「まずは、簡単にこの世界の常識をお話ししますわね?」
「はい。宜しくお願い致します。」
『シャナム国は五百年ほど前に独立し、建国されました。当時、独立する前の国は悪政で民を苦しめておりました。税に苦しめられた民達は民の為に心を砕き、活躍したスミス家を支持し独立しました。その後、何度か隣国との戦いがありましたが、無事に国を守ることができました。けれど、三百年ほど前に異世界の方がいらした時は、危機的状況の時でしたから、武術に優れた彼の活躍は素晴らしいモノでした。
そして彼の出現により戦いは無くなり、この世界は平和に成ったのです。』
「昔の方は大変だったのですね」
「そうでございますね。彼らの戦いがあったから、今の私達がこうして平和に生きていけるのです。それに彼の存在が前に話した通り、服装や男女の役割りに影響を与えて一つの文化にもなりましたから……」
文化ねぇ……私からしたら、不気味というか、変わっているというか、なかなか受け入れ難いんだけれどね。
そんな事を考えていた時、ジョエル様から好きな人はいるのかと聞かれた。
「すっ、好きな人ですか?いないです。友達と話しているのが楽しかったので、彼氏はいませんでした。」
「では、私と恋をしてみてはどうでしょうか?」
「えぇー!ジョ、ジョエル様とですか?私は異世界人なのですよ!」
「異世界人かどうかは、どうでも良いのです。真奈花様であれば。」
「考える時間を下さいませんか?」
そうして、今日の勉強は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます