このバレンタインにチョコレートを!

 2月17日…この日は、どの男子も少しの期待を持ち、学校へ向かうだろう。そしてあったものは喜び、なかったものは同士を見つけ、慰め合う。そんな日を世の中はバレンタインというらしい…


「まあ、ヒキニートだったクズマさんにはあげる人なんているわけないわよね。プークスクス」

「おいアクア。そこには触れるな。俺が悲しくなるだろ」

「知らないわよそんなこと。事実を述べただけじゃない! 」

「よーし、アクア。バレンタインにうまいチキン料理出してやるよ」

「なになに、ついに私に服従して、アクシズ教徒にでも入信する気になったの? じゃあまず私には敬語を使ってアクア様と言いなさい! そしてそして…」

「よし、じゃあゼル帝使わせてもらうな」


 アクアは話を辞め、急いでゼル帝の小屋へと向かって行った。よし、これでうるさいやつは消えた。


「で、カズマは本当にチョコもらっていなかったのですか?」

「そ、そんなことはない。小学生の時には結婚を誓い合った幼馴染もいたからもらってた…はず」

「ショウガッコウ? カズマは本当によく意味の分からないことを言いますね。でもその時だけしかもらっていないのですね」

「そうともいう」

「なんですかその顔は。私は作りませんからね!」


 仲間以上恋人未満である、めぐみんに向って物欲しそうな顔をしたのだがどうやら効果はなかったようだ。異世界に来て、モテ期到来中の俺はもらえると少しは思っていた。しょうがない。


「よし、俺はちょっと泊まりにいってくる。」

「なぜそうなるのですか」

「俺を慰めてくれる人にあってくるんだよ。アクアにはチキンを楽しみにしておけと言っといてくれ」


 と、カズマは行ってしまいましたね。さすがに作らないというのは言い過ぎたでしょうか。しょうがないですね。こっそり作って明日の夜にでも渡しに行ってあげましょう。

  

「チョコというのはこんなものなのですね。まずはこれをどうするのですか?」

「こんなのちょちょいのチョイよ! まずは細かく切り刻んでいくのよ」

「切り刻むのか…簡単そうにみえて難しいのだな」

「こんなことでは完成できませんよ。ってあぁ! 指を軽く切ってしまいました」

「めぐみんったらおっちょこちょいね。この私がいるんだからあんしんなさい! ヒール。じゃあ次の作業に行くわね! 今切ったチョコたちを今度は湯煎して溶かしていくわ」

「なぁ、アクア。今の作業って必要だったのか?」

「そんなこと私に聞かれても困るわ。昔、見た簡単なチョコの作り方に書いてあったのだから!」

「まあ、いいじゃないですか。こうやってるという達成感と手作りした…!という感じが大事なのだと思いますよ」

「それもそうだな」


 その後、彼女たちは思い思いの形にチョコを形どり、固まらせ袋に詰めていったのだった。そして、翌日。


「ねぇねぇ、カズマさん?」

「どうしたアクア。そんなに今日のチキン料理が楽しみなのか?」

「その件なんだけどね? 今日はチキン料理を食べたい気分じゃなくて変えてもら

…」

「それはだめだ」

「最後まで話は聞くものよ。それでね、お詫び…にチョコをあげるからかえてもらえないかなぁって」

「ほほう。で、そのチョコは?」

「我慢できなくてつい…」

「よし、夜ご飯を楽しみにな」


 アクアが泣きついて来てるが知らない。しかし、口の周りについてるチョコの後を見るにあったことは確かなのだろう。今回は見逃しておこう。


「おいカズマ」

「おっ、どうしたダクネス。今日がバレンタインだからチョコをくれるのか?」

「お前というやつはなんで先に言ってしまうのだ。結構、渡すのにドキドキしてたんだぞ」

「本当に当たったのか。冗談で言ったんだけど…」

「まあいい。そ、それでこれが私からの気持ちだ。受け取ってくれ」

「ありがとう。しっかりと眺めておくよ」

「た、食べていいんだからな? 眺めるなら私を…」

「おい、チョコを渡すとより照れてんじゃねーよ!」


 この変態は置いておこう。この流れで来たということは次はめぐみんからもあるな? よし、先に見つけてやろう。そう思い、台所を漁っていると、、


「カズマ、これから日課を果たしに行きたいのでついて来るのです!」

 

 なぜかいつもより、意気揚々としているめぐみんが俺を誘ってきた。これはなんかある!


「ショ、ショウガネーナ」

「何をそんなに鼻を伸ばしてるのに固くなっているのですか? まさか、チョコを期待しているなんてわけではありませんよね?」

「それ以外の何物でもないが」

「全くこの男は。今、私が持っているのはゆんゆんに貰ったものですよ。私は作ってなどいませんから」

「じゃあそれでいい」

「もお、この男は! さっさと済ませに行きますよ!」


 こんなことを言いながらもどうせあるのだろうと、ソワソワしながらついて行った。しかし、魔法を詠唱しだしてもそれらしいことはなくついに打ち終わってしまった。やっぱりないんだ。悲しみに暮れつつ、めぐみんを負ぶって帰ることにした。


「おい、めぐみん。本当にチョコないのかぁ? って寝てんのかよ」

「そんなにいそがなくていいのですよ、、、、コメッコ、、、カズマがいるいじょうおかねには、、、、こまらないのですから、、、ちょこはゆっくりたべなさい」

「ったく、夢の中ではコメッコにチョコやってんのかよ。ってか俺がいるから金には困んないってなんだよ…ってなんかいつもと違うふくらみをめぐみんから感じるぞ」


 いつもとは違うふくらみを見つけそこを探ると中には溶けかけているチョコがありそこには[大好き]とだけだけ書いてあった。


 

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