第12話 不完全燃焼

34 K-1

これで終わればよかったんだけど、

俺はクチナシが心配なのと、

あの場がどうなったか気になって、

病院を脱走しようとしてリーダーに見つかって連れ戻された。


そして、タブレット迷彩の仲間からタブレットを借りて、

映像を見せられた。


ぶっちゃけ気持ち悪かった。

完全に溶けてるやつはどうやっても人間に見えないし

(それぐらい完全に形がなかった)

一見すると人間の死体は見当たらないから、気にならなかった。


でも、あれは全部人間だったんだ、と理解せざるを得なくなった。

映像は放送室へ入っていくところだ。

廊下の扉は黒いゾンビ液まみれだったが、

カギを壊して踏み込んでいくと

放送ブースの中は上半分に所々赤い液体が広く飛び散っていた。

床にはカッターナイフが落ちている。


「ここにいた嬢ちゃんらは、おそらく恐怖に耐えきれず、

自殺か仲間同士で殺し合ったんだよ」

「放送室だけじゃない。何か所かにそういう形跡があった。」


リーダーはタブレットを俺から取り上げて、映像を停止した。


「こっから先は、お前たちには関係のないことだ、

……と言いたいんだが」


リーダーは、

「残念なことにお前には選択権がある」

と言った。

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