第11話 逃走
33 K-1
クチナシは雅楽の演奏の間に舞を踊っていた。
このあたりの伝統舞踊の元になったものらしい。
その間は喋ったりしてはいけなくて、
タイミングとか、指示は全部身振りで行うらしい。
俺が紙に書くとか抜け道ないん?て聞いたけど
分からないと言われた。
あの女の子の放送は
流石に中身は聞こえないけど、
何か女子がしゃべってるなってくらいはわかったらしい。
クチナシは気になったけど、
他の人は誰も気に留めてる風に見えなかったそうだ。
クチナシは舞を続け、俺たちは家庭科室で即席爆弾を作っていた。
たぶん19時は過ぎたあたりで
俺たちの一発目の爆弾がさく裂した。
理科室の手前を崩して壁にし、
万一ゾンビが残っていても時間稼ぎするためだ。
俺以外の男子は爆弾を炸裂させた後必死で家庭科室へ戻ってきた。
廊下じゃなくて窓の外に気配が増えた。
俺たちはやっと助かる、と思った。
迷彩の一人が光を点滅させて外と会話しだした。
その途中で俺はリーダーに引っ張られ、
彼女と一緒に先に逃げるように言われた。
そして、リーダーは俺と彼女、タブレット迷彩の腕に
何かバンドを巻きつけた。
同じものを巻いている仲間がいるから
ソイツと車で出来るだけ遠くへ逃げろ、と
リーダーは言った。
俺たちはタブレット迷彩に引っ張られて、
窓から、下に敷かれているマットの上へ飛び降りた。
そして、周りの助けてくれた人たちへ
ちょっと頭を下げただけで
さっさとその場を離れざるを得なかった。
ずっと引っ張られていたし急かされて
めっちゃダッシュさせられた。
俺と彼女はそのまま、
リーダーたちの指定した病院に入院させられた。
別れ際、タブレット迷彩が変なことを言っていた。
「今から11か月以上過ぎるまで、絶対に彼女とヤるなよ。
彼女の命が惜しかったらな。」
俺はドキッとした。
高校1年だし、
ちょっとそういうことも狙ってたんで。
何でかって聞いたんだけど、彼は
「明日になっても知りたいと思うんだったら、それをリーダーに全部話せ。」
としか言わなかった。
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