第8話 発症

18 K-1

何度かタブレット迷彩に連絡が入り移動するを繰り返す。

その間に何か放送室から割り込みがあった。

それはさっきのゾンビのことだった。


声は女の子数人だった。

彼女たちのところにはリーダーのような人たちが来なかったみたいだ。

銃声がしたから怖くて教室を締め切っていたら、

雅楽の演奏の途中ぐらいから急に何人かの腕が黒く変色して

ドロドロ溶けだしたそうだ。

それで彼女たちはそうならなかった人だけで協力して、

溶けだした人を教室に閉じ込めて廊下へ出た。

しかし、隙間からドロドロが漏れ出してきて、

扉を抑えていた人が同じように溶けだした。

彼女たちは逃げるときに隣の教室にそれを伝えようとしたが

全部回っていくことは無理だろうと考えて放送室へ逃げ、

ゾンビのことを放送した。


彼女たちは喋ってる間に全員その場で発症が始まってしまった。

その様子は実況されたまま、全員の泣き叫ぶ声を最後にブツっと音がして

スピーカーから何も聞こえなくなった。

遠ざかったぶん雅楽の音はいつの間にか終わっていて、

ほぼ静寂に近い感じだ。

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