第6話 錠剤

15 K-1

それから色違いの迷彩、

リーダーぽかったからリーダーって書くわ、そいつのそばにいた、

ずっとタブレットいじってる迷彩の奴が、側に置かれた荷物の中から

何か錠剤を配りだした。

先に残ってる女子全員(その時点で10人切っていた)

それから男子と先生。


小さいころ飲んだ糖衣のやつみたいな、

ちょっと大きめの錠剤で、たぶん白い。


水はなくてもいいが噛まないほうがいい、みたいなことを

タブレット迷彩が俺たちに向かってしゃべった。

例のウィルスにかかっていない人を多少守れる薬らしい。

ただ、治す薬ではないから、

既にかかっているとわかっていたらその時点で容赦なく置いていく

とリーダーが言った。


他にも無事な人がいるらしく、

どこか頑丈な特別教室に移動して立てこもる

(ダメでも窓から飛び降りて下で自衛隊とかに受け止めてもらえる)

ことになったらしい。



移動中、突然

ブラスバンド部の演奏が聞こえてきた。

知らない曲だった。久知野高校の校歌だと教えてもらった。

外からの音と放送のスピーカーで二重に聞こえる。

バンドもあれだけど、

そのあとの雅楽(古い民謡)は太鼓が気持ち悪かった。

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