第15話 国際連邦
国際連邦は国々の紛争を回避と神様から託されたパスロ大森林へ各国が介入することがないように監視することが大きな役割だ。
また、各国が領有できていない未開発の土地を開発した場合、その土地の領有に関する審査も行う。
場合によっては新しい国を認めることもある。
悪魔との戦いを主導しているのも現在は国際連邦の仕事になっている。
以前は大賢者様が主導してくださっていたのだが・・・・。
また、犯罪者を収容する犯罪者収容島の管理も行っている。
この施設は神から与えられた施設で、このおかげで死刑を行わずに犯罪者を終身刑で収容できるようになった。
今回のアクレア帝国の一件などで、国際連邦は混乱している。
さらに直前に神託があったと言え、管理を任されたパスロ大森林に神の使徒によって突然造られた鶯シティー。
アクレア帝国のにおける違法召喚と悪魔の皇妃への憑依、そしてその顛末。
アクレア帝国による鶯シティーを自由都市国家として承認する件。
追随するように他の国からも鶯シティーを自由都市国家として承認する旨が表明されている。
アクレア帝国からの提案を受け、国際連邦本部が鶯シティーの件で会議を開催するという決定をするのに時間はかからなかった。
大賢者様の亡き後に発生している様々な問題を神の使徒様がしてくれるのではないかと期待もしている。
加盟の各国も温度差はあるが会議の開催には賛成してくれた。
ただ、神の使徒の実力には疑問を持っているのも事実だ。
そして神託では使徒様から何やら提案があると伝えられた。
この事も気になる。
今回の会議には召喚勇者も招集されることになった。
しかし、全員が応じそうにはない。
力を誇示して好き勝手にやっている勇者や地球に帰れないのを悲観して閉じこもってしまった勇者もいる。
更なる力を得るために修行の旅に出ている者とも連絡が取れない。
こんな感じで悪魔退治は大丈夫なのか?
「カナン、会議の準備は大丈夫か?」
「はい、滞りなく進んでいます」
「そう言ってこの前も失敗したよね。参加者の人数を大幅に間違えて君と私の給与が減額されたよね」
「お陰でパーティーの残り物で二月も生活してしまいました。てへぇ」
トルト国際連邦総長は優秀かドジっ娘か評価の分かれる筆頭秘書のカナンに臨時で開かれる会議についての確認をとる。
いつもは優秀なカナンなのだが時々大きなポカをする。
前回の定例会議の後の懇親会で参加人数を2倍にしてしまい、大量の余り物を出してしまった。
給与の減額が言い渡されたカナンは残り物を時間経過のない収納に納めてそれで二月を食い繋いだ。
本人は美味しいものが食べられて喜ぶことになったのだが・・・・。
癖になるなよ!
故意にやれば犯罪だ!
大丈夫なようだ。
優秀な秘書が同じ間違いを再び行うことがあってはならない。
ドジっ娘でも秘書の矜持とモラルは持っている。
懇親会の前の会議の準備は完璧にできていた彼女が今回の懇親会の料理が足りなくなった事に気が付いたのは懇親会が始まった後だった。
どうも彼女は詰めでポカをやらないと生きていけない『ドジっ娘』という病気を持っているようだ。
彼女の失敗のなくすには彼女の仕事を検証する助手を置くのがいいのだが人材が足りないということは残念だ。
* * *
アクレア帝国の皇帝と皇帝補佐と宮廷魔法長は警護の女性近衛騎士2名と男性近衛騎士1名を連れて鶯シティーを訪問している。
街の中を見学し温泉旅館に1泊する日程だ。
護衛には街内で実剣の携行を認めれれないということで特殊警棒に装備を代えてもらった。
全員に10年間有効なゲスト用の身分証明機能付きの腕輪を渡した。
もちろん護身用にも機能する。
劣化版の収納機能もある。
通信・検索機能等はない。
このような便利な腕輪を与えたことで武器の変更を了解してもらった。
6人とも近代的な街並みに驚いていた。
まあ、当たり前か。
食事の美味しさにも感動してくれた。
とくにスイーツには喜んでいる。
「ここに大使館を設置しましょう。私が常駐します。そうすればタカシ様と・・・」
「皇帝補佐にそんなことされては困るわよ」
「わかりました。では近衛騎士だある私が常駐しましょう」
「近衛騎士は王宮で仕事があるだろう」
「宮廷魔法師長を引退しようかな」
「爺、それは駄目」
結局、アクレア帝国の王宮の近代化と美味しい食事の供給を行うことで話がまとまった。
私とサオリさんが時々、王宮に顔を出すことにもなった。
今回は国際連邦や他国の動向に関する情報交換も兼ねていたのだが6人ともしっかり寛いでしまっている。
護衛がそれでいいのか?
他国は概ね鶯シティーについて好意的だ。
あまり大きなトラブルはないだろう。
悪魔退治のことも考えて期待もしているようだという。
国際連邦総長とは会議の前に会談をする方向性で調整を行うことにもなった。
* * *
国際連邦本部では総長と鶯シティー代表の会談の打診の要請を見てカナンが溜息をついている。
トルト国際連邦総長の日程はすでにかなりタイトなものになっている。
まあ、このくらいの仕事どうということはないのだが。
しかし、この調整で懇親会の最終確認の時間が無くなったのも事実だった。
まあ、今回の失敗が彼女の人生を変える契機になったのだが・・・・。
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