第14話 帝国との会談と生活魔法の講義
アクレア帝国の大神官様を通して帝国との話し合いを何時持つかという問い合わせがあった。
協議した結果3日後に皇都南門1kmの地点に会談の会場を用意することになった。
その会場まで転移で訪れてよいということだ。
私とサオリさんとサユリ先生、秘書のオートマタ1体、警備のオートマタ6体で行くことになった。
装甲車は2台使用する。
* * *
鶯シティーの方では魔法の講習会が行われている。
ステータスを見た結果、全員が魔法の発動に問題がないことが確認できた。
まずは生活魔法から使えるように講習と訓練が行われた。
生活魔法レベル1の着火・飲料水・微風・簡易浄化・照明。
着火はライターの魔法だ。
薪や炭に対してもすぐ着火させられるのがいい。
生活魔法ラベル2では松明になる。
指先から出る松明の火はちょっとシュールだ。
術者は暑さを感じない。
持続時間は魔力量による。
焚火は生活魔法レベル3だ。
生活魔法のレベルが上がると焚火も大きくできる。
これも持続時間は魔力量による。
生活魔法レベル1の飲料水はコップ1杯の飲料可能な室温の水を出す。
生活魔法のレベルが上がると水温の調節ができ、さらに1回の魔法で創れる水も増える。
高レベルでは水質の調節も可能だ。
生活魔法レベル2では氷を作る魔法、生活レベル3では冷却魔法・加熱魔法もある。
微風はうちわで扇ぐ程度の風、レベルが上がれば強い風や冷風・温風も可能だ。
生活魔法レベル4からは乾燥魔法もある。
簡易浄化は手や顔や口内をきれいにしたりできる。
生活魔法のレベルが上がると身体浄化や衣類浄化。
生活魔法レベル2からは殺菌もある。
このレベルなら毒の浄化もある程度は可能だ。
照明は光球を浮かべて照明として使う。
生活魔法レベル10以上には清掃や簡易的な料理魔法や衣類修復などもあるのは魅力的だ。
生活魔法レベル12以上の浄化なら弱い霊が相手なら除霊も可能だ。
昼までには全員がレベル2までの生活魔法が使えるようになり、さらに上のレベルを目指している。
* * *
これからは生活魔法以外の魔法も魔法適性に基づいて講習会を開いていく。
同時にこの街でどのような仕事に就き、どのような勉強をしていくかということも話し合っていく。
指導面接は専門のオートマタにやってもらっている。
午前中は魔法講習会、午後は就職指導面接と職場体験。
これから一週間はこのスケジュールを予定している。
生徒に関しては週に一度は午前中にクラスごとに集まることにした。
地球に帰れば、またクラスで行動するのだからクラスの絆ということでその点も大事だろう。
授業を受ける場合はできるだけ本人が希望する授業を選べるようにした。
この世界の授業には魔法だけでなく武術やモノづくり、貴族向けの内容等も準備した。
貴族向けの授業では礼儀作法やダンスが人気がある。
貴族令嬢へのあこがれか。
冒険者向けの内容も好まれた。
やはり、魔物討伐やダンジョン探索に連れて行かなければならないかな?
* * *
3日後、魔法の講習はオートマタに任せて私たちは朝からアクレア帝国の帝都の南の会談場所に装甲車に乗って転移した。
特にトラブルもなく会談を始めることができた。
アクレア帝国の代表は元第2皇女のマリア新皇帝、元第1皇女のマリサ皇帝補佐。
地下牢に幽閉されていた元宰相が新宰相になって同行している。
宮廷魔法師長は新皇帝の相談役を兼務していた。
彼は新皇帝の家庭教師を務めていたことがあるらしい。
元皇太子は神官見習いとして大神官様に付き添っていた。
帝国の人事の交代に関しては事前に大神官様から連絡を受けている。
「今回のことは大変に申し訳なく思っています。心から謝罪をいたします。そして助けてくださりありがとうございます」
「謝罪を受け入れます」
最初に帝国側から改めて今回の召喚に関する謝罪と悪魔討伐と帝国中枢の正常化に関するお礼が述べられた。
新皇帝自らの発言だ。
第2皇女だった新皇帝は腰まで銀髪を伸ばした美少女だ。
その聡明な発言と清楚な佇まい、そして美しさは魔法を使わなくても周囲を魅了する力がある。
帝国から見舞金と礼金が支払われことになり、いくつかの鶯シティーに対して優遇処置と協力が約束された。
この内容はすでに大神官様を通じて話し合われ、合意ができている内容だ。
この場は最後の確認と調印いう訳である。
見舞金は金貨5140枚、召喚されたもの一人当たり金貨10枚。
4人家族の生活費10ケ月分だ。
日本円で100万から200万円ぐらいの価値かな。
交易の時のレートをどうしよう?
悪魔討伐の礼金として金貨1000枚が支払われた。
そして次のことが決まった。
1、アクレア帝国は鶯シティーを自由都市国家と認め、友好関係を構築する。
2、アクレア帝国は鶯シティーの国際連邦加盟を支持する。
3、アクレア帝国は鶯シティー住民の帝国内の活動の自由認め、帝国国民と同様の権利を保障する。
4、アクレア帝国は鶯シティー住民の帝国内への転移での移動と往来を認める。
5、アクレア帝国は鶯シティーの大使館を帝都内に置くとともに帝都南側に鶯シティーの交易所設置を認める。
6、両者は悪魔討伐のために協力し、必要な施策をとる。
6番目はスラム対策も含まれる。
特に教育を行うことでスラムをなくし、悪魔がつきいる隙をなくすということだ。
またお互いの情報交換も密にすることになった。
なお、鶯シティーのオートマタも鶯シティーの住民として認められた。
その4日後、アクレア帝国の提案で鶯シティーの国際連邦加盟の会議が10日後に国際連邦本部都市で開催されることが決定した。
* * *
「何でこうなった?」
会談の後に開催された昼食会でサオリさんと新皇帝が仲良くなった。
「サオリ様。お姉様と呼んでいいですか?」
「ええ。喜んで」
サオリさんも頬を緩めている。
サユリ先生も微笑ましく見ている。
第一皇女だったらマリサ皇帝補佐は私に積極的に話しかけてきた。
彼女はしっかり者のお姉さん、できる女性という雰囲気だ。
妹同様の美しい。
プロポーションもいい。
すごく魅力的だ。
いや、私にはサオリさんがいるけど。
サオリさんと私はどんな関係だろう?
いつも周りには早く結婚してしまえと言われているけど。
まあ、・・・・・周囲公認の恋人だよな?
マリサ皇帝補佐は何故か自分が独身で只今伴侶を募集しているということをアピールしてくる。
王族だったら22歳なら婚約者がいるというか結婚していてもおかしくないはずだが。
「この世界では一夫多妻は当たり前ですよ。私は素敵な相手なら第2夫人でもかまいません」
「はあ、そうなのですか」
私は好かれているのか?
帝国の策略か?
そして彼女らを鶯シティーに招待することを約束させられた。
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