第12話 街の生活

私たちが鶯シティーにたどり着く頃にはすでに様々な書類の手続きが終わり、希望にあった住居も与えられ、昼食を摂っているところだった。


この後全員に事情の説明を行わなければならい。


その前にサオリさんとサユリ先生には説明を行うことにした。


すぐに帰れないことなども含めて驚かれたが納得してくれた。


二人には全体に説明してないことも説明しておいた。


それは私が地球で仮死状態であるということも含めてだ。



召喚された人たち全体への説明は管理センターにある中ホールが使うことにした。


管理センターはこれからはシティーセンターと呼ぶことにもした。


中ホールは700人が収容できる会議にも適した施設だ。


各座席には机があり、そこにはディスプレーも表示される。


壇上のプレゼンもそこで確認できる。


マイクもあり座席からパネル操作で発言ができる。



説明会の前に全員に特殊な機能を持った腕輪を配布して着用してもらった。


この腕輪の機能はまずは身分証明書にあたる。


他人が使用することはできない。


1回着用すると外せない。


着けているという感覚がなく、念じれば見えなくできる。


この街では必ずこれを着用してもらうことになる。


まずはこの腕輪を使って自分のステータスが確認できる。


念じることによってステータス画面を宙に表示することができる。


さらこの街で使用する通貨はこの腕輪に情報として入っている。


言うなれば電子マネーだ。


この街では報酬を受け取るときも支払行う時もこの腕輪を使うことになる。


通貨はなじみ深い円を使う。


物価は今の日本と同じだ。



さらにこの腕輪には収納機能を付けた。


時間経過のある方は3トンまで収納できる。


生き物も専用の容器に入れれば収納可能だ。


時間経過のない方は100kgまで収納できる。


宙に画面を表示して収納してある物を確認したり取り出したりすることができる。



腕輪に防御機能として耐物理攻撃・耐魔法攻撃・耐状態異常の機能も持たせた。


まあ、万能という訳ではないが怪我や病気からある程度守ってくれる。


悪魔の憑依も防ぐことができる。


初級の回復魔法も発動することができる機能も持っている。


生命力回復と魔力回復だ。



さらに情報検索機能もあり、さらに今回一緒に説明を受けた仲間との通信機能(通話とメール)もある。


地図機能・ナビ機能もある。


ほとんどスマホだ。


腕輪を着けた人物がどこにいるかということもわかるが非常時以外は使わないということを説明しておいた。


さらに救援を呼ぶこともできるようになっていることを付け加えて説明した。



初めにこの街のすばらしさと渡した腕輪の機能について説明した。


初めから衝撃の事実を伝えるのは控えた。


次にこちらの世界が今だけは私たちのいた地球の1000倍の速さで時間が経過していることも説明した。


そして私たちの成長や老いも地球の時間で起ることを理解してもらった。



「私が80才までの寿命があったとしたら、この世界ではこれから約6万2千年生きられるということですか?」



高校3年生の生徒からの質問だ。



「そうですね。ただこれはこれから話すことの関係で地球時間で数日間は1000倍だということです。普通は30倍です。そうすると1860年ですね」



それでもすごい事だよね。



その後、悪魔の関係で地球に帰るまでにこちらの時間で年単位の時間が必要なこと、原則としてこの都市で過ごしてもらうこと、ここでの生活では学ぶこともできるが収入を得るために必ず働いてもらうことを説明した。


予想通り動揺が広がった。



そして、


「時間経過の差や異世界での生活を経験した後、ここの記憶を持ったまま地球に帰るにはそれなりのステータスを獲得して環境の変化に耐えられる精神力を持ってもらわなければなりません」


「ステータスが低いと得た知識や学んだことすべて失われるのですか?」


「異世界に関する知識は失われます。地球の知識はこちらに学んだことも残ります。地球時間の3日間で8年分ぐらいの学習ができるということです」



これで少しは落ち着いたようだ。


神様たちは彼女らを地球に帰すとき、異世界の記憶を消そうと主張してきた。


それに対して一定のステータスを得て精神的にも今回の経験を受け止められるように成長したら記憶を残してあげられないかとお願いをした。


一応、仮ではあるが神様の了承は得られている。



悪魔の危険性についても説明したけど理解できただろうか。


一応、帝国での悪魔を退治する様子の記録映像を見せたのだが・・・・・。


今、地球に悪魔が戻らないようにこの世界を封鎖していることと私がその悪魔を倒すためにいることも説明した。


その後、要望も聞いたところ、異世界でしかできないことをやりたいという希望が多かった。


具体的には魔法と冒険、魔物討伐とダンジョン探索ということらしい。


魔法は学べるところを準備するか?


魔法学校かな。


安全に魔物討伐ができる場所を用意できるかな?


ダンジョンも造るの?


怪我なら何とかできるけど死んでしまっては困る。


ゲームではないということを理解してもらわないといけないよね。



いくつかの要望は検討すると伝えた。


また、この二月の食材または弁当や総菜の選び方と配達方法、支給されるお金についても説明した。


支給額は月20万円。


今日と一月後に支給される。


一斉に腕輪から残金の確認を行っていたよ。


無駄遣いするなよ。


交通機関や公共施設利用料は無料にした。


テニスコート使用は無料だよ。


医療や住居費・光熱費・学費も無料だ。


眼鏡とコンタクトとトイレットペーパーも無料提供。


住居の修理も無料で面倒をみる。


自転車は無料貸与。


7日分の衣類は下着も含めて無料で選べるようにした。


タオル類やせっけんやシャンプーも現在部屋に用意してある物は無料。


これからは自分で買ってね。


部屋には非常食も用意してあるよ。



温泉旅館は一泊二食で1万円。


日帰り温泉は1回500円。


肉まんは1個100円。


回転寿司は一皿100円。


百円ショップの商品も100円。


消費税分だけ安いかな?


ハンバーガー100円か200円。


牛丼200円。


天丼200円。


コンビニやスーパーのお弁当は200円と300円と400円。



働いて稼いで使う。


これはこれから数年間この町の住民になるために必要な事だと思う。


いい勉強になるであろう。



なお、これらのお金は地球に持っていけないことも理解してもらった。


そこの君たち貯金して地球で使うつもりでいただろう。



説明会の後、グループに分かれて街の見学に行ってもらった。


しっかりオートマタの案内をつけたよ。



今日の夕食は歓迎のパーティーだ。



これから1週間は就職説明会や各種講習会で忙しくなりそうだね。


教師には学校に勤めてもらうことにした。


希望者には地球の学習も続けられるようにしてある。


学校も複製してあるよ。


教材もそろっている。


地球のように忙しくないように教えるように検討してもらうことになる。


教師にも学校が休みの時には好きな事をしてもらう。


大人も魔法を使えるようになりたいという人たちが多かった。


大人用の魔法教室を開くかな?



さて、私と一緒に帰ってきたサオリさんとサユリ先生の住居を決めなくてはいけない。


サオリさんとサユリ先生はどうしても私の住居の隣がいいそうだ。


これからの事を相談するにも便利だから了承した。


サオリさんには病院を統括してもらう。


サユリ先生には学校と役所の統括をお願いした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る