Killing×Drowning

 恐怖とは人に根付く植物である。根は心の隙間を捕らえ、葉は感情を喰らってさらに恐怖を生み出す。それらから逃れる方法はない。――死ノ之眼 赤花 著、『羽虫の王様』より。


「おやや、仲間割れ? 駄目だよ仲良くしなくちゃあ」

「仲間? 馬鹿を言うな。そこで一人みじめにうずくまっている奴は仲間でもなんでもない」


 キャンサーの刃がきらりと光る。至近距離で間合いを図るように、ゆっくりと動くキャンサーの目は1ミリの油断も秘めてはいない。


「仲間じゃない……友達でも?」

「友達? それこそあり得んな」

「――じゃあ! 貴方が私の友達になっても誰も困らないよね!? よねっ!? よねっ!?」

「我自身が困る」


 閃く刃は冷静に、しかし確かな軌跡を描いて女に襲い掛かる。しかしすべては一歩及ばない。偶然だと片付けられる回数はとうに過ぎている。間違いなく女はすべての攻撃を回避しているのだ。

 恐らくこれは私たちが到着する前に何度も繰り返された光景なのだろう。刀は当たらず、自らは溺れさせられ、それでも折れずに戦い続ける。


「私には、到底真似できないなぁ……」


 そんな言葉が口から漏れた。地面に座り込み、二人が戦いを繰り広げているのをただ見る、それしかできない。


『ちょっと! このままじゃ――』


 スコーピオンの言葉すら、一枚壁を隔てたかのように私の芯に届かない。

 キャンサーにさっき言われた言葉は本質をついているように思えた。結局私はただ思い上がっていただけだったのだ。誰かの助けになりたいと、頼り頼られる関係を築きたいなどと、そんな幼稚な望みを叶えるために。

 皮がはがれればこの通り――正にこの通りだ。頼り頼られる関係だったはずのもう一人が消える瞬間でさえ、私は動くことができなかった。今だってほら、恐怖は私を駄目にする。


「チィ……面倒なっ!」

「面倒? 酷い酷い酷いなぁ、わたしたちはこれから友達になるんだよ? そうだよね?」

「その質問を人に向けて、もし本気で肯定されるつもりなら、お前は本当に救いようのない愚か者だということになるな」


 恐怖は私に理由を与える。動かなくていい理由を、危機に立ち向かわなくていい理由を。そして私はそんな甘い果実に迷いなく飛びつくのだ。その後で必ず後悔するのがわかっていながらも刹那の安全と甘味に身をうずめてしまう。


「大人しくゆっくりと溺れて、膨らんで、そうして私の友達になってよ!!」

「うるさいハエだ」


 私の根底には恐怖があった。ただ、それだけだった。紫暮に何かを言う資格など私にはなかったのだ。恐怖のみが存在する大きな大きな空洞、それが私だった。


「……私、なにやってるんだろ」


 願いを持たず、居場所を持たず、作り上げたのは砂の城。人に倒れと言っておきながら私は頼られるような人間では――


『留雨十』

「スコーピオン、わたっ、私は……」

『留雨十、落ち着いて」


少女の手が私の顔を包み込む。あたたかな体温が頬に触れた。


「あなたの戸惑いはよくわかる。恐怖っていうのは意識して消すなんてできないものね」

「私はちっぽけだよ、スコーピオン」


感情が決壊しそうだった。


「留雨十はどうしたい?」


意志という名の柱がその役割を終えそうだった。


「留雨十は今、何のために戦ってるの?」


私は、紫暮の願いを共に叶えたくて。

なぜ彼女の願いを叶えようと思ったんだっけ、その場の勢い? 哀れみ? いいや、そんなの違う。私は、


「私は、紫暮が大切だから」


仲が良いというのは私の勝手な思い込みかもしれない。そんな感情は紫暮にだって失礼だ。あの日、紫暮が本心を吐露してくれた日、本人は「こんな頼りなくてごめん」なんて言っていた。

私はそうは思わなかった。逆に紫暮がずっと身近に感じられて、そしてずっと頼りに――任せるんじゃなく背中を預けられる関係になれたと思うから。


「ほら、答えはもう出てるじゃない。あなたが戦うのは?」

「大切な人を守るため、紫暮と共に戦うため」


紫暮と出会わなければすべては始まらなかった。戦うこともなく、恐怖を感じることもなく。そもそもスコーピオンと出会わなかったら。


そうだ、そんな考えはもうとうの昔に捨てているじゃないか。

私は紫暮と共に、紫暮の願いじゃなくて“紫暮の願いを叶えたい、という自分の願い”のために、そして大切なものすべてを守るために戦うんだ。

矛盾もある、不安もある。それでも行動を起こさずにいたらきっと後悔してしまうから。


 ◇


「何をしに来た」


 二人の間に割り込んだ時、真っ先に向けられたのは彼女の目線。敵よりも殺意に満ちたその目線を私は真正面から受け止める――ことなんてできるはずもない。


「待て、なぜ我の周りを回る」

「怖いから、君の視線もあの女も」

「怖い、か。弱者の言い訳を聞いている暇は今無い」

「そう、怖いんだよ」


私は怖い。怪我して痛いのも、血が出るのも、仲間が消えていくのも。


「だから逃げるのか? 話にならん――」

「逃げない。足はすくむし、震えるし、思考だって鈍る。だけど逃げたらそこで終わっちゃう」

「何が言いたい?」

「私の願いは紫暮の願いを叶えること」

「くだらんな、他者の願いを叶えたいなどと。それはただの自己満足だ」

「そう、自己満足だよ。自己満足で結構! でも、他者の願いっていうのはちょっと違う」


私の願いはしっかりとあるんだから。


「“紫暮の願いを叶える”っていうのが私の願い。それは誰かの願いじゃなくて私の、私だけの願いだ」

「屁理屈をっ!」

「その屁理屈だって恐怖を打ち消すのには十分だよ」

「なんだと?」

「――私は、怖い。怖いことは無数にあって、近くにあって、私を蝕んで、離さない」


でも、だから。


「だから、無理やりにでも抑えるんだ。あとで散々怖がろう、あとでおびえて縮こまろう。でも、今だけは――」


今だけは、黙っていろ。


「――黙れ、私の心!」


静かだ。静寂ではない。静か――


「私は私を認めない。私が恐怖を覚えるのを認めない。私の願いを叶えるために、私は私の恐怖を殺して見せる」


私は空っぽだ。でも、それを認めていたら私の願いは叶わない。

空っぽを埋めよう。なんでもいい、恐怖という空の外枠さえも突破して。


「だから今は力を貸して、私があなたという味方、補償、鎧を手にする。それで私は私の空洞を埋めるから」


「……足を引っ張るなよ。素人」

「プロなんでしょ? 素人ぐらいちょちょいと使ってみせてよ」


片手を差し出すとキャンサーが露骨に嫌そうな顔をする。


「……やはり我は貴様が嫌いだ」

「私はあなたが苦手だよ」


――でも、私はあなたを少なくとも仲間だとは思ってる。


私とキャンサーは女のほうへ顔を向けた。

女は舞台でも見ているようにこちらの様子を伺っている。


「あれれれ? 仲間割れは終わりかぁ」


「そのにやけ面を崩したときが貴様の最後だ」

「今に見てろ!」

『二人の仲が深まったところで! 今度は私たちのラウンドだっての!!』


キャンサーが私の手を取る。


「……チッ」

「ふふ」

「笑うな」


キャンサーの身体が緑光へと変わり、本の形を創り上げる。


「紫暮を返してもらうよ」


思い浮かべるのは力。圧倒的なまでの鋭利さ。両断する勇気と猛き魂を。


「魔導書発動!!」


紫暮の持つ強さと鋭敏さを内に再現する。


「《身の内に刃抱きし巨蟹宮ゾディアック・ キャンサー》!!!」



気が付いた時には女の目の前にいた。思考が遅れるほどの圧倒的身体向上性。

強い、というか強すぎる。暴れ馬すぎて扱いきれない。


『そのままだ』

「え?」

『そのまま振り下ろせと言っている』


キャンサーの言葉に従って腕を動かす。燐光を発している刀が女の回避し始めた肩の一部を切り取る。

身体向上によって、じれったくなるほどにスローになった視界。その中で肉の断面が決壊し行き場のなくなった血が血管からあふれる。


「うそうそうそうそ!! はっやーい!!」

「仕留め損ねた!」


肩の一部がないというのに女の様子に変化は見られない。それどころかますます感情が高ぶっているようにも見える。


『油断するな。右から切り込め、接近した際に1秒間隔をあけるのを忘れるな』

「――!」


右に反転して切り込む。女はすぐに回避しようとするがそこで一秒の間。感覚をズラされた女は無防備な姿をさらす。


『やれ』

「紫暮をっ、返せぇ!!」

「やーだよっ」


軽く指を鳴らした女からなにかが投擲された。


『なに!?』

「これは……」


人だ。


切り裂くこともできず、回避する。その隙に女はわずかに残った地面の間をジャンプして移動した。


現在一帯は紫暮によって切り裂かれたことでばらばらに陥没しており、下の下水道が露出しているような状態だ。一歩でも奴の下に行ったが最後、紫暮と同じように水の底へ送られるだろう。


「お友達が力を貸してくれるって!!」


また女が死体を投擲した。


「なんだってこんなに死体が!!」

『よく見ろ、下だ』

「下? ――うっ、これは」


陥没したタイルの下。完全に見ろせる下水道の中は凄惨な光景で満たされていた。

死体がそれこそタイルのように敷き詰められ、そのどれもが不自然にふくれている。


そして私は最悪の発想へと至った。

紫暮に相対した際に発生した下水の爆発。あれはこの死体たちによるものだ。人間を奴の能力でもって湖のそこへ幽閉し、溺死したまま保存。

そしてさっき下水のなかへ呼び戻したのだ。

死体は水を吐き出す。自らが死に至った原因そのものを。

それによって下水のキャパシティーを超えた水がマンホールより放出された。それが真相だ。

一人分で足りるはずがない。いったい何人を殺したのだろう。何十人? 何百人? そんなものではない。何千何万という数だ。


「気が付いちゃった?」


女が薄ら笑いと共に言った。


『……なぜこんなことを』

「“友達”だから」

「友達……?」

「そう、私のお友達。見て、彼ら彼女らを」


気が付いた。この死体たちの妙なふくらみは溺死体にみられる“それ”だ。


「不思議だったの、なぜみんな溺れてないのかな? って」

「なにを……」

「私の友達は波にさらわれた。なら私の友達はみんな溺れるべき、そうじゃない?」

「は?」



女の脳内で繰り返しフラッシュバックする光景がある。目の前で真っ黒な波に飲み込まれる――


「なんで、なんでなんだろう。私の友達は溺れて、だからこそ溺れるべきで、私はたくさんお友達が欲しくて――ほおら!」


女は自らの周囲を浮遊する魔導書にほおずりする。


「私が友達を欲っする理由には十分だもの!」



「――さっぱりだ」

「え?」

「さっぱり理解できない」

『貴様と意見を同じくするのは不本意だが同意見だ。貴様の論理は破綻している。いや、それ以前の問題だな』

『あなたにだってそうなってしまった原因があるのかもしれないけれど。私たちにはわからない』

「だから、私はそれを真っ向から否定する!」


瓦礫と死体すべてを切断して女に接近する。

驚いた様子はない。ただ、ただ――


「ただ、お友達に――《溺死者のパレヱドアンダーウォーター . D E A D》」


私と女の間に数えきれないほどの死体が出現する。女への攻撃を防ぐ肉壁、使い捨ての身代わり人形。


「――友達っていうのは、互いを尊重するものだ」


紗夜の顔が頭に浮かぶ。


「友達っていうのは笑い合うものだ」


紫暮の笑顔が脳裏に浮かぶ。


「友達っていうのは、使い捨てにしない関係のことだ!!」


スコーピオンも、キャンサーだって、彼女らの関係がたとえ友情でなくとも。


「そんなわけない! 全部私のお友達! 全部私の愛しい絆!」


矢継ぎ早に死体を出現させ、それによって生まれた私のロスタイムを利用して女は距離を離し、ついには街灯に手をかけた


『不味いっ』


街灯によじ登られれば確実に私より上に。女の魔導書が能力を発動する条件を満たしてしまう。そうなれば終わり――


『――やれ、貴様には今“二人”いるだろう』


「終わらせて、たまるかぁぁぁ!!」


私は立ち止り、左足を一歩踏み出す。右手に握った刀を逆手に持ち替えそれを――

――勢いよく投擲した。


ほとばしる緑の閃光は吸い込まれるように女の昇ろうとしていた街灯を、さらにはその斜線上にあった死体と瓦礫全てを切断した。


「――」


女が目を見開く。奴にはただの光の線にしか見えなかったことだろう。

一瞬呆然とし、慌ててこちらを振り向くが、


「ぉぉぉおおおおお!!!」


私は既に発動宣言を終えている。青い光を軌道上に残す片刃剣を手にした私はその腹で女の脇腹を殴打し、そのまま振り切った。


華奢な身体が吹っ飛び、瓦礫に突っ込み土埃を舞い上げる。


「ゲホッ、これはこれは……まさにびっくーり」


私は無言のまま、片刃剣を瓦礫に背中を預けた女へ向ける。


「紫暮を返してもらうよ」

「いやだ、と言ったら?」

「――殺す」

「まさかのまさか、あなたは人を殺せるような人間じゃぁないでしょう?」

「……どうかな」


殺人に対する抵抗は現在まったくないと言っていい。早く紫暮を助け出すためにも、復讐などを防ぐためにもこの場で殺してしまったほうが恐らく

だが、こと自分がとなると話が変わってくる。

果たして自分は人を殺せるか? いざ殺すというところになって抵抗が表れてしまうなら相手に余裕を与えることにもつながる。それなら最初から脅すのみのほうが――


「あはは、そんな必死そうな顔しちゃって」

「そんな顔っ!」

「まあ……いいか、あなたは殺さなくてもそっちの子はやりそうだし」


顔を向けられたキャンサーが刀に手をかける。


「ああ、そっちの軟弱と違って我にはためらいなぞないぞ』


やれやれと言うように女が首を振ると、水が空間に弾けて紫暮が出現した。


「紫暮ッ!」


慌てて駆け寄る。人の肌にしては白くなりすぎた肌に触れ、その冷たさに驚いた。

雪――氷だと言われても納得してしまうほどの冷たさ。そう、死んでいると言われても――


「紫暮!! 紫暮!」


身体を揺さぶる。紫暮は両の目を閉じ切ったまま、反応はなく目を開けてもくれない。

冷たい胸に耳を押し当て、鼓動を捉えようとする。


「嘘でしょ、嘘だって……紫暮!」

「おい、どうした蠍座の主」


逃げないように女を見張り続けるキャンサーが声をかけてくる。


「キャ、キャンサー……紫暮がっ、紫暮の心臓が!」


動いていない。動いているのだとしても小さすぎて感じ取ることができない。

どのみち危機的状況だ。


「留雨十! 救急車、早く!」


スコーピオンの声で我に返った。

電話を終えて再び紫暮の身体を抱きしめる。


「あっはは、もう駄目なんじゃないの?」


女があざけるような言葉を投げかけてくるが無視する。

にこりと微笑んだ女はその場でターンした。


「待て、貴様どこへ行く?」

「ここにいても良いけど、いいの? 救急車来るんだよねぇ?」


救急隊員もさすがに刀を突きつけられた女を見逃しはしまい。

かといって見張るのをやめれば隙をついて逃げられるかもしれない。


「――いいよキャンサー、逃がそう?」

「正気か? 回りくどい自殺志願だ」


「ただし、魔導書は置いて行ってもらう。いいよね」


女は小首をかしげると自身の魔導書を放った。


「命あっての物種ってやつだよん。それじゃまた、会えたら」

「……二度と姿を現さないで」


女は路地を曲がるとその姿は消えた。


「紫暮の身体がどんどん冷たくなってる……」

「ここは歩道のみの区画だ。車両が入ってくるには若干の時間を要するだろう」

「じゃあ……紫暮は!?」


「――あーあ」

「……誰だ」


乱入者。幼い声と共に階段を下がってくるその人物は薄緑色のショートヘアを風に揺らせた。


「貧民どもが喚いておるなぁ」

「誰だ、と言っている」


キャンサーの脅し文句を意にも返さず、その小さな少女は階段を降り切った。


「わらわに刃を向けるな、無礼者」


手で刀を軽く小突き、少女は私と紫暮に近づいてくる。


「君は……」

「君ではない。わらわは下賤の者よりはるか上に存在する者。尊敬を込めて“天上の御方”とでも呼ぶがよい」

「ふざけるな、誰が小娘をそんな風に呼ぶものか。まず名を名乗れ」


キャンサーが背後から再び刀を少女へ向けた。


「分をわきまえよ。二度までは許そう、だが三度目はない」


少女は私が抱える紫暮に目を落とす。


「このままこうして牽制のし合いを続けても良いが……いいのか? そこなる女、死んでしまうぞ」

「っ……紫暮」


紫暮の肌はますます白く、そして青く。大いなる生命という楔が徐々に崩れていくのが私にはわかる。だがどうすることも――


「わらわが治してやろう」

「は?」

「え?」


私とキャンサーは思わず互いの顔を見つめた。

目線のみで意思を確かめ合う。


耳を貸すな。ただの小娘か、そうでないなら罠だ。

でも紫暮が――

もうすぐ診療所の者どもが来るのだろう?

それじゃ間に合わない!


そこにスコーピオンの視線が割って入った。


ともかく、救急車を待ってたんじゃ間に合わない。そしてキャンサーは紫暮を失いたくない。そうでしょ?

別に我は――

失ったら厄介、面倒。そうよね?

……ああ、そうだ。

なら賭けてみる価値はあると思う。もし本当に治せるんだとしたら――


「話はまとまったか? 早くせねば死んでしまうぞ?」

「……本当に、紫暮を治せるんだよね」

「当然。わらわを誰と心得る?」


少女は小さな手のひらで紫暮の頬に触れた。直後、淡い緑にその手が発光し始める。


「これは……」


みるみるうちに紫暮に変化が訪れた。肌には血の色が戻り、体温は暖かく、そして小さく息が口から漏れ始める。


「……紫暮ッ、紫暮!」

「慌てるな、そやつだって疲れておる。数時間したら目覚めるじゃろう」

「じゃあ、もう……」

「下賤なる命も命だ。救われるべきものよ」


少女は髪をはためかせて立ち上がった。髪が浮き上がり、その下にあったものが露わになる。


「な……に?」


それは角だ。羊のような、ぐるぐるとらせんに成長した角が少女頭横に生えている。


「わらわの名を教えてやろう。未来永劫感謝し、崇め、子孫代々まで語り継ぐとよい」


少女はくるりと回る。薄緑のワンピースが円を描き、着地する。


「わらわは《淵に立つ者に手を差し伸べる白洋宮ゾディアック・アリエス》。12星座の羊座に位置する黄道魔本である」


少女の両目が怪しく光り、その中の輝きに私は思わず目を奪われた。

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