花火の鑑定による戦争が長く延々と続く世界。
鑑火師であるエダは、採点票を手に次々と打ちあがる美しい花火を評価していく。
短い短編の物語の中に、驚くほどに深い思索の迷宮が待っています。
「僕は花火が綺麗なものだと思う。戦争の道具だとしてもやっぱり綺麗だし、人の耳目を楽しませた上で勝敗を決めようっていう考え方はいいと思っている。血も流れないし、沢山の人が死ぬよりはずっといいとは思わない?」
そう、淡々と語るエダだけど、彼が最後に見る花火は……
命の美しさは、何のためにあるんだろうね? そう、思わずにはいられない作品です。