第18話 VS幼女

 

 同時刻――

 金髪の幼女が、山頂の神殿に現れた。足は、人間だった。

 津波に巻き込まれたせいで服はボロボロだが、体には傷一つない。

 優秀な回復魔法の使い手でもあるらしい。

 幼女は、神殿の前に立つ三人の現大陸人を見つけると、忌々しそうににらみつけた。


「おぉ、怖ぁ……」


 シドニーが、わざとらしく自分の肩を抱いて震えた。挑発だ。


「あー、そこの幼女、お前がアトランティス人だというのはバレている。その容姿で油断させて不意打ちなんてことは不可能だ。ただでさえ、三対一。君の勝利はない。大人しく投降しなさい」


 咳払いして、大和が告げる。

 幼女は首を振った、徹底抗戦の構えらしい。魔法陣を展開し始めた。


「ならば、是非も無し。この地で死ぬが良い!」


 芝居がかった台詞で、大和が光剣を構える。


「悪役シリーズまだ続いとったのか」


 笑って、シドニーのナックルが一足先に炎を吹いた。

 が――、弾かれる。幼女の結界だ。


「一人――ではない。私の眷属は一万人だ。」


 ごぼごぼと幼女の足元から、得体の知れない化け物が湧いて出た。

 うげっとわめいて、シドニーは飛び退った。


「お前たちは、全てを殺せるのかね? 大人しく投降すべきは諸兄だろう」


 ニヤリと幼女の口が笑みの形に裂けた。

 本能的恐怖を感じたシドニーが、すがるように大和を見る。


「なぁ、俺たちの仕掛け、これじゃ無駄やないか?」

「ん、まぁ想定してなかったしなぁ……。ここで死ななきゃ無駄じゃないと思う、よ」


 大和の顔に脂汗が流れる

 シドニーは引きつった顔で両手を上げた。


「オワタ」


 その一言を皮切りに、悪魔の眷属どもは、大和たちに襲い掛かった――。

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