第6話 うふふ、おっけー☆

「「「…………」」」

 黙らせたら、全員黙った。多分、気が進まないからだ。

 だが、彼らを無理にでも盤上に載せないと、自分を信じて世界を預けてくれた人たちに申し訳ない。

 アメリアの世界を救う交渉が始まる……!


「お願い~。世界の危機なの。貴方たちだって、世界に大事なものとかあるでしょう? それを守るのを手伝って~」

 アメリアは指を組んで上目遣いのポーズで泣き落としにかかった。まぁとにかく、魔リンピック出るにも人数そろえなければどうしようもない。

 対して、三人の反応は微妙だった。悩む隙すら見せない即答っぷりである。

「俺は別に、UFOさえ見れれば、世界なんてどうでもいいし……」

「借金取りごといなくなるんなら、むしろ世界なんて無い方がええんやで……」

「私は、アメリアさんが居ればどうにかなります」

 全員、頭がおかしかった。

 特にシドニーの表情には、悟りきった賢者のような笑みすら浮かんでいた……。ヤバい方に達観している。おまわりさんこの人です。

 アメリアは内心、ローラのようにてへぺろ~した。

(あらら~、そうだったわ~。この子たち、国家に対する忠誠心や愛国心なんてものが欠片もなかったのよね。だから、自国の大陸を救うためにお互いの足を引っ張る心配がなくて、選手候補に選んだんだわ~。失敗失敗)

 情動に訴える方向は無しだ。アメリアは、すぐさま決断した。

「ならそうね~、任務が終わったらお望みの物をあげるわ~」

 全員の死んでいた目が見開かれる――!

「UFOは!」

「うふふ、おっけー☆」

「俺の借金、全額肩代わり!」

「だいじょうぶだいじょうぶ♪」

「あなたの血肉が欲しいです!」

「んーわかんないけどオッケー☆ハッピー♪」

 契約成立!

「「「依頼お引き受けします!!!」」」

「やった! アメリア☆うれしい~♪ ウフフ~」

 そしてハイタッチ!

「「「「いえ~い☆ まとめて全部やっちゃおうね うふふ~♪」」」」

 アメリアだけじゃなくて、全員あっぱらぱになった。だれかとめて……!

 何はともあれ、ただの勢いと私利私欲で世界を救う勇者達は立ち上がったのである。実に現金な奴らだった……。


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