どうしてそうなります? アレクセイ伯爵はわかってくださいません

『フランシス伯爵令嬢、お手紙をありがとうございます。貴女は文字も可愛らしいのですね。お人柄がしのばれます。

 ヴァロウ家が困窮なさっていると正直に、ありがとうございます。ですがどうかご心配無く。私の意志は、変わりません。

 持参金は不要とだけ、ご両親に伝えておきます。

 ご自分を卑下なさっていますが、絵姿より実物の方が奇麗です。貴女の複雑な出自も存じていますが、私も両親がおらず親戚に育てられました。お気に病まぬよう。

 なおマリエン男爵令嬢に興味はありません。お会いできる日を待ち遠しく思っています』



 待ちに待って、4日後やっと来たご返事がこれですか? 

 詰みましたーーこうなったら婚約式当日に、こっそりアレクセイ伯爵にお会いするしかないです。婚約式の翌日から婚約公示期間が40日間ありますが、40日間のどの日にお召しがあるか、小説に明記されていないのです。

 はしたなくて、女性から言うのは気が引けますが。わたくしは速達で手紙を送りました。お義母様達は「持参金不要」に舞い上がっていましたから、速達便のお代に文句は言いませんでした。


「内密にお話したいことがあります。婚約式の後、アレクセイ伯爵邸で二人きりで会いたいです」


 願わくば、アレクセイ伯爵に意味が伝わりますよう。

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