第16話 ハッピークリスマス



 石橋さんに魅力を感じなかったから断った訳ではなく、海という


将来を共にすると決めていた彼氏がいたから断っただけで個人的な


付き合いはなかったけれど、今の会社に入社して3年、一緒に


働いてきた先輩だし充分未来の伴侶として考えるにふさわしい


人物で、石橋さんの顔が浮かんだらあんたへの執着が一気に


吹き飛んじゃったらしいわ。





 まっ、その時が海、あんたが絢にスパッと捨てられた瞬間

だったんだよ。


 ご愁傷様。


 


「なんだよ、それ……そんな話聞いてないよ。


 確かにいついつまでに結婚するってことは約束しなかったけど

結婚相手は絢しかいないって思ってた」



「そーかなぁ。

 絢が人のものになったからそう思うんじゃないの?


 さっきだってクリスマスなのに絢以外の若い子と腕組んで

ポカンとしてたじゃん。

 絢それしっかりと見てたんじゃない?


 自分の選択に間違いはなかったって思ったはずだよ。

 私が絢の立場でもそう思うモン。


 まっよかったじゃない。

 あんたはあんたで若い子とデート。


 絢から結婚せっつかれることもなくこれからも思う存分

遊べてさっ!

 海が結婚をよーやく考えられるようになった頃、絢はもう

二人くらいは子供作ってママになってるんじゃない。



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