第15話 ハッピークリスマス


 絢から皆に、海には知らせてくれるなと緘口令が敷かれてたもん。


 あのね、絢はね、あんたと付き合ってる間、高校、大学、職場と

結構モテてたんだよ。


 絢はそういうこと軽々しく人に言わない子だから

知らなかったんでしょうけれど。


 あんたよりずっとずーっとかっこいい人やお金持ってる人や

そりゃあいろいろ素敵な男性からのアプローチがあったんでしょーよ。


 あんたとのことを大切に思っていたから一度の余所見もせず、

海一筋だったんだよ。


 なのにあんたときたら今はまだ遊びたいからって

絢からの提案無視して、全く。


 結婚に対する将来の展望さえ話し合おうとしなかったそうね。



 絢ね、言ってた。


『心底あんたにガッカリした』ってさ。


『せめていつ頃までには結婚しようと思ってるとか、そんな言葉も

言ってくれず私は海の一体何だったのかな』って泣いてたよ。


 絢ね、ちょうどその半年前位に今のご主人の石橋さんに結婚を

前提としたお付き合いを申し込まれてたんだよ。


 泣いてた時にそのこと思い出したんだって。


 

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