第13話 ハッピークリスマス


 そんな事を思いながらも背中にどっと冷や汗が噴出した。



 世の中に似た人物が3人いると言われているがこんなに似た

女性がいるとは。


 後に続いて出てきた新郎と美しい新婦は一枚の絵の中に

神々しく佇んでいるかのようだった。


 その場に遭遇した俺たちは見とれてしまった。


          ◇ ◇ ◇ ◇


 家々と街並みに混じり、聳え立つたくさんの大きな木々と

その後ろに控えるまだ緑色を残した山々を背景に

二人が待たせてあったリムジンに乗り込もうとした時、

俺のよく知る人物が現われ花嫁に向って何かを告げた。


 とその時、花嫁が俺の方を見た。


 その視線の先にあったのは、俺にベタベタ擦り寄ってきて

腕に自分の手を絡ませている大隈可南子と、ポカンとあっけに

取られている俺の間抜けな顔だったろう。


 花嫁の口元が動いた。 『 ○ー○ 』


 俺はぐっと腹に力を入れて動いた。

 そして走った。

 絢に向って走った。


 絢はそのまま車に乗り込んだ。

 俺を見捨てて。


 もう見間ちごうことなくその美しい花嫁が絢であることは

間違いなかった。


 どーして? なんで?


 俺とではない他の誰かとツガイになってしまったのだ。

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