第7話 鐘流夜
今何時?
どうして?
だってもうすぐ
ほらほら鐘が鳴る人が集まるよ
とある夜のお話たち
流れるときに逆らわない
〇〇〇〇〇〇
街はクリスマス一色で
きらきらのイルミネーション
流れるのはラブソング
金曜日の夜、なんて素晴らしい響き。いいえ私の仕事には曜日は関係ないのですが。一年365日、休みのない仕事はたくさんあります。まずはみんなでかわりばんこにシフト制。次に自分の好きな時間にできる仕事。私は後者になります。今日は金曜日の夜で明日から三連休。人も酔っ払いも多い。絶好の仕事日和です。連休の最終日はクリスマス・イブ。その日も狩り時です。
私の仕事はとても誰かに簡単に言えるようなものじゃありません。いろんな人を見つめる仕事です。悪趣味ですか、そうですね。言ってしまえば犯罪です。あの人は今何を考えているのか、どこへ行くのか、服装に持ち物までチェックします。恋人のことではありません。
しめしめ、鍵がかかってないな。こりゃいいや、今日は家族で出かけたようだし。鍵がかかっていないなんて不用心だな。
あらあら今あのお宅に泥棒が入ろうとしています。私はそれを遠くのほうから眺めます。犯人は悪い顔してますね。でもあの家は止めたほうが…
ほら鳴った
パトカーの音が響く
私は違うお宅や人の
かねめのものや
かばんを探して
怪しまれないようにしながら
あなたのことを見ています
今何時?
どうして?
鐘がならないんだ
私を捕まえてくれるはずなんだけど
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