第5話 陽流夜

 今何時?


 みんな動いている時間だよ


 まだ眠っていたい

 

 今日はずっとこうだね

 いつまで起きないつもり?


 できることならずっと




 おひさま消えないでまだ待っていて


 陽流夜ようりゅうや




 とある夜のお話たち


 流れるときに逆らわない




 ◯◯◯◯◯◯




 おひさま久しぶり

 朝は寒かった

 昇って照らして

 世界を



 今日は日曜日。今日はもうあと数十秒で終わります。彼女は布団をかぶってノートパソコンをカタカタとしています。真ん中に小さな文字で曜日と時刻が映し出されています。なんのつっかかりもなくデジタル時計は明日を表示しました。その瞬間今日になります。今日はもう日曜日ではありません。みんな日曜の夜とは言いますが、それがもう次の始まりだと知っています。あまりいい夜ではないようです。




 動かないことに理由ができた

 動けない理由ができた

 寒いから

 冬だから


 ああ冬眠したい

 これから冷え込んでいくのだ

 できることならこのまま

 消えてしまいたいのに

 私をなかったことにしてほしいのに

 そのくせにここにいてもいいことを認めてほしくて

 あがいている

 私はまだしがみついて残っていた

 だけどいったい何に?



 彼女はボサボサに伸びっきった髪をガシガシとかきながら、仕事が嫌だと嘆く人を見ています。帰りたいと嘆く人のつぶやきを見ています。みんなみんな流れていきます。




 今何時?


 みんな眠っている時間だよ


 知ってるよ

 みんなが動いていることも知ってるよ

 みんなが生きていることも知ってるよ



 まだ待っていておひさま消えないでよ

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