第2話 水流夜

 今何時?


 まだお昼です

 夜には雪に変わるでしょう


 今日はずっと雨だね





 雨の夜のはじめての夜ふかし


 水流夜すいりゅうや




 とある夜のお話たち


 流れるときに逆らわない




 ◯◯◯◯◯◯




 おやすみからどれくらい?

 雨の音がする

 目を開けちゃった

 耳に雨の音がする

 眠れなくなってきた




 今日は水曜日。水曜日になって1時間しか経っていません。彼女は眠れなくなってしまいました。何もすることがないので雨の音を聞いていました。こんなに遅くまで起きるのは初めてでした。と言っても彼女は時計を見ることはできませんでした。寒いのでお布団からも出られない。部屋の電気も真っ暗です。ただただ聞こえるのは雨の音。まだまだ夜なのはなんとなくわかるのです。


 こんな時にどうしたらいいのか、知っていました。羊の数を数えればいいと。


 目が慣れて見えてきた部屋もいつもとは違う雰囲気。水色のランドセルも星柄のカーテンも、大好きなくまさんでさえ暗い色をしています。ドキドキしている自分の胸の音がだんだんと大きくなって、その音に急かされながら羊が飛びます。そのうちサボり始めた30匹ほどの羊達と遊んでいるうちに少女は眠りに落ちていました。




 窓の外には雪が

 もう雨ではありません

 しんしんと

 しんしんと

 何も音を立てずに

 少女の初めても恐れも

 まったくなかったかのように




 今何時?



 深夜です

 まだ眠っていていいんですよ




 冬の雨の夜

 だんだんひえびえ

 雪に変わるよ


 一面の銀世界には

 もうすぐ足跡が

 たくさんついていくでしょう

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