第3話 月流夜

 今何時?



 まだ夜ですよ

 まだ起きなくてもいいですよ

 月がとてもきれいですよ



 そっか夜なのかあ




 真夜中の空には月が浮いていて


 月流夜つきりゅうや




 とある夜のお話たち


 流れるときに逆らわない




 ◯◯◯◯◯◯




 今日は月曜日。もう月曜日も三分の二が終わりました。彼女は夜勤担当の者です。



「よろしくみなさん」



 彼女のお仕事は夜ごはんから朝ごはんまで、ここにいるみなさんのお世話をすることです。これから彼女は一日の終わりと始まりをここで過ごします。ごはんが終わってもみんなはまだまだ眠りません。




「まだ眠たくないですか?」


「当たり前だろう」


「あたしの方が眠くなってきた」


「寝たらどう?」


「仕事があるんですよ」


「やっといてあげるから」


「ありがとね、でもあたしの仕事だから」




 彼女は眠れない人と一緒に起きます。または突然起き出して眠れなくなった人と一緒に起きます。彼女の休憩もありますが眠れないことがほとんどです。



 寒くなると空気が澄んでくる

 なかなか寝つけない

 気づいたら気絶していて

 中途半端な時間に起きては

 どうしたらいいのかわからなくなる


 月が流れない夜に

 まだ月の残る夜に、朝に

 夜と朝の中間地点

 中途半端なあの時間

 夜も更けて

 空も白んで

 いや闇も深く

 なおも尚更






 今何時?


 もう朝ですよ

 そろそろ起きてくださいね

 あっという間に明るくなるから

 カーテン開けていきますよ


 あらまだ月が光ってます

 夜が長くなりましたね




 夜明けの空にもまだ月が輝いていて


 あっという間に流れる時間ときを一瞬止めた

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