星流夜

新吉

第1話 雲流夜

 今何時?


 まだ昼ですよ

 後もう少しで休憩時間は終わりです


 今日は一日曇りだなあ



 雲の多い日に黙々と

 雲流夜もくりゅうや


 とある夜のお話たち

 流れるときに逆らわない



 ◯◯◯◯◯◯



 今日は木曜日です。木曜日になって1時間、彼はまだまだスマホをいじっています。


 夜も更けて、彼は音楽が流れたまま眠ってしまったようです。一つ曲が終わっても自動で次の曲が流れていきます。何を歌っているのか聞き取れないくらいの速さの曲もあれば、歌詞のない遅い曲もあります。今ぶつんと曲が切れました。充電が切れたのでしょう。


 寝返りをうち、彼はスマホを見ます。真っ暗のまま応答しません。このままでは明日のアラームが鳴ってくれない、そう考えた彼は重たい体を起こします。




 ひえびえとしていて

 しーんとしずか

 寒い夜に突然目覚めて

 今夢の中なのかなあ

 今げんじつなのかな

 線を指しておしまい

 さあさおこしておくれよ

 僕のアラーム



 彼はアラームの音が鳴り響く部屋で眠ったまま。ときは流れていきます。スヌーズが5回くらい鳴ったころゆっくりと目を覚まし、今度は画面が付いてくれました。時刻のお知らせと今日は木曜日、平日ですよ。飛び起きた彼は慌ただしく準備を始めます。外は雲が広がる暗い朝。カーテンを開け忘れた部屋はより一層暗いまま。




 今何時?


 もう夜中です

 そろそろ寝たらどうですか

 アラームを付けても起きられないくせに



 雲の日にはなにもきらめかない

 暗いまま

 だからまだまだ眠らない

 だからまだまだ目覚めない

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