瓶の中

透明な瓶の中

白い糸が縒りあう太めの紐

その先に火をつければ ぼうぼうと

赤と青の綺麗な色が ゆらゆらと

燃やし続けることで

瓶の液体は消えていく

なくなれば補填すればよいと

『先生』は言った

保管棚にある茶色瓶の中には

瓶の中身があるという

殻になった瓶の液体を再利用する為に

紐ごと蓋を外し ずるずると

つん、と鼻につく臭い

湿った紐とかさついた蓋を机に置いて

適切な液体を殻の瓶に注いでく

八分目でいいのよ、と つらつらと

その通りにする

紐を戻す、蓋を閉める、体積が増えて

アルコールランプは再び使えるようになった

明日の実験でも使うという

ずっとずっと使うという

燃料がある限り使うと にこにこ

大人は笑っている

そうですか、と へらへら返した

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