滲みる

滲みる

今まで広がるような痛みから

刺すような痛みに変わる

じんわり

痛みと発熱と鈍痛が繰り返し繰り返し

治るまでに時間がかかるだろう


この消毒液は劇薬だ

痛みを麻痺に追い込む薬であった

いや鈍らせる薬であった

そうであることを望まれた薬であった

感覚を鈍らせ

思考を排除し

眠りに誘う

そうして身体と心を治すのだ


この消毒液は麻薬であった

擦り傷、刺し傷、かき傷 その他もろもろ

清潔になる為の麻薬であるのに

頭は回らず、体は重く、目から涙が流れた


ああ、馬鹿にするつもりはない

でも、なんでこうなってしまったのだろう

私が心身の病など、それがしょうどくえきで治るなんて

誰が信じてくれるのだろうか

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