人生をやりなおしたいかとの問いにきっぱりかぶりを振る著者さんが、そう答えるに至る生まれてからの17年間を振り返るエッセイ。
その家はボロボロで、ゴミや埃、虫や犬猫、よく知らない人から泥棒までもりもりやってきますし、元ヤンのご両親を始めとした人々は埒外にまで突き抜けてますし……
そんな中で醸される諸々のドラマ、実に味わい深いのです。
人間の個性や性格を形作るものは環境ですよね。そしてその環境を構成するものは物ばかりでなく、関わる(その人にとっての)モブキャラクターです。
ここまで過酷な環境が仕上がるにはいったいなにが必要なのか?
著者さんが人生をもう一度……と考えない理由はなんなのか?
それが折り重ねられるエピソードの中でどんどん明確化されていくんですよ。
これこそがまさにリアルガチな人間ドラマ。そう思わせられずにいられない、パワー満ち満ちる一作です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)