第27話 鈴森サヤ、参戦する

「どうして、あなたがここにいるの?」


 掠れた自分の声が、何故か遠くに聴こえる。……あれ、おかしいな。力が入らない。そう思った直後、周りの光景がぐにゃりと歪んでぼやけた。

 鈴森サヤの登場に驚き過ぎたせいかと思ったけど、実際に体がぐらぐら揺れている。


「アセビ!」


 すぐ隣にいた柊くんが腕を回して支えてくれなかったら、そのまま後ろ向きにぶっ倒れていた。頭を強く打って、これ以上バカになったらどうすればいいんだ。

 柊くんは私を抱えたまましゃがみ込むと、私の頭を自分の右肩に凭れさせた。真っ先に左手で私の下瞼を押し下げる。彼の切れ長の瞳が、視界いっぱいに迫ってきた。


「貧血を起こしてる。エネルギー切れだな。アセビ、栄養バーは? 持ってる?」

「鞄の中だ……置いてきちゃった」


 集団テレポートに未来視にと、一度に能力を使い過ぎてしまったらしい。体中の力が抜けてしまって、もう目を開けていることすらキツい。


「――これ、良かったら」


 離れたところに立っていた鈴森サヤが、一歩前に足を進める。

 彼女が手に持っているのは、あれは……栄養バーだ! しかも茶色のパッケージ。ということは、チョコ味!

 私には彼女が女神様に見えたんだけど、柊くんには違ったみたい。


「そこから動くな!」


 彼は鈴森サヤを睨みつけ、一喝した。警戒心に満ちた低い声が後に続く。


「ここへ何をしにきた。お前の目的はなんだ」

「多比良マホのバングルが異常を計測したって聞いたから、セントラルの外出許可を取って様子を見に来たの。もしかしたら、人命救助中なのかもしれないと思って。実際に来てみたら、ホントに困ってるみたいだったし。……これ、毒入りでも爆薬入りでもない普通の栄養バーだから。信じられないのなら、自分で確かめて」


 鈴森サヤは両手をあげて敵意がないことを示した上で、栄養バーをこちらに向かって放り投げてきた。柊くんはサイコキネシスを発動させ、そのバーの勢いを止めてしまう。私達と彼女とのちょうど中間地点で、チョコ味のバーは空に浮いて止まった。

 鈴森サヤは大きく目を見開き、栄養バーと柊くんを交互に凝視した。


「これ……あなたがやってるの? まさか、柊グループの発明品って本当に?」


 柊くんはその質問には答えず、彼女を見据えたまま器用に片手で端末を操作した。


『――シュウです』

「そっちはどうなってる?」

『ケイシは被害状況の確認に行きました。私と多比良さんは裏手の駐車場の茂みで待機しています。裏口にも警察や救急隊が駆けつけてきてるので、これ以上は近づけません』

『早く戻ってきて!』


 冷静な御坂くんの声に被さるように、マホの泣きそうな声が聞こえる。


「親父に連絡を取ってくれるか。事情を説明して、こちらに数名応援を寄越すよう言って欲しい。警察と消防に顔が利く人材で頼む。アセビによると、パワードレスキューの中に奴らが紛れてるそうだ。交戦はしない。なんとか例の四人だけを奪還する。お前たちはケイシの帰還を待って、速やかに離れに退避。次の連絡が入るまで待機してくれ」

『了解しました。入手した情報はこちらで纏めておきます』

『ちょ、なに言って――』


 マホの悲鳴を合図にしたみたいに、端末はそのままプツリと切れた。


「――多比良たちには接触してないな? 何故彼らと話さず、直接ここへ来た」

「説明してもいいけど、ここでのんびりしてていいの? 私は話をするなら、もっとマシなところでしたいんだけど」


 柊くんのもっともな質問を、鈴森サヤはあっさりいなす。

 これ以上問答していても埒が明かない。彼もそう思ったのだろう。柊くんは栄養バーを動かして手元に引き寄せ、私に差し出した。

 ここは素直に厚意に甘えよう。私の身体は休養を欲しがるあまり、勝手にスリープモードに入ろうとしてる。今、寝落ちするのは、絶対まずい。

 震える手で包みを開け、口に運ぼうとしたところで、柊くんに手首ごと持っていかれる。何をするつもりなのか尋ねる暇もなかった。あっけに取られた私のすぐ目の前で、柊くんは栄養バーにかじりついた。


「……ん。大丈夫みたいだな。いいよ、食べて」


 柊くんは口の中の固形をすぐには飲みこまず、しばらく含んだ後でOKサインを出した。もしかして今の、毒見だったのかな。

 ……って毒見!?

 なんでこの人はいつも、簡単に自分を私の盾にしようとするんだろう。

 文句を言いたいのに、その力も出ない。悲しいようなくすぐったいような、複雑な気持ちでバーにかじりつく。一本食べきったところで体の震えが止まった。

 柊くんの腕から抜け出てその場に正座し、残りの2本も平らげる。

 食べている間中、沈黙を保った2人にじっと見つめられていた。動物園の檻の中にいる錯覚を覚える。私はゴリラじゃないんだから、他のとこ見ててよ。

 全て食べきり、ふう、と息をつく。口の中がもそもそするけど、飲み物欲しいとか贅沢なこと考えてる場合じゃないよね。数階下からは耳障りな金属音が聞こえてくる。

 そろそろタイミリミットだ。


「鈴森さんに聞きたいことは沢山あるけど、もう時間がないみたい」


 私が言うと、柊くんは大きく一つ息を吐いて頷いた。


「そうだな。……帰って欲しいと頼んでも聞かないんだろう?」

「事情を把握できるまで帰らない」


 鈴森サヤは柊くんの厳しい視線を正面から受け止め、冷ややかな表情で顎を反らせた。なんだろう。この2人、あんまり相性よくない気がする。


「こうなったら、鈴森さんにも手伝って貰うしかないよ」

「だな。45階に移動して、奴らを待ち伏せしよう」

「分かった」


 防火扉を操作するパネルは壊されてたのかもしれない。ぽっかり空いた窓から飛び込んでくるのは、チェンソーで金属を切っているような音だ。消防隊は、閉じられた防火扉を物理的に開けていくことにしたみたい。

 パワードなら能力で開けている筈だから、まだパワードレスキューは到着していないと考えていいだろう。

 殺人者達は、何らかの手を打って本物の彼らの到着を遅らせ、リーズンズの消防隊員に遺体を発見させようとしているのかもしれない。


 私はすっくと立ち上がり、ワンピースの裾を払ってから、鈴森サヤを見据える。


「――鈴森さん」

「な、なに」


 彼女は意表を突かれたようにたじろいだ。


「あの人達がどの地点に飛んでくるか、感知できる?」

「あの人達? 意味が分からない。あなた達、一体これから何をするつもりなの?」


 あ、そうか。もう私の心って明け透けじゃないんだっけ。つい昔の癖で、お見通しだろうと思ってしまう。


「えーと、どこから話せばいいのかな。詳しい説明は後でするけど、私には未来が視えるんだよ」

「……え? それ、本気で言ってる?」

「うん、嘘みたいでしょ。でも本当なの。行方不明になっている保護省のリーズンズが、今日ここでミックスパワードに殺される。犯人たちはパワードレスキュー隊になりすましてる。それでね、もうすぐ45階に飛んでくると思う」

「ちょ、ちょっと待って」

「待てないんだって!」


 プチパニック状態の鈴森サヤに素早く近づき、彼女の腕を掴む。いきなりそんなことをされるとは思わなかったんだろう。仰天した鈴森サヤの脳内に、さっき得た予知夢を流し込もうと試みた。だけど、彼女はトップレベルの純血パワード。テレパスを遮断するプロテクトは非常に硬く、なかなか突破出来ない。


「お願い、受け取って!」


 無理やり届けるのは無理だと悟り、目を合わせて叫ぶ。彼女は僅かに躊躇ったあと、心を開いてくれた。寸前で堰き止められていた映像が、一気になだれ込んでいくのが分かる。

 鈴森サヤの顔は、みるみるうちに青褪めていった。


「こんなの……! こんなの、私達の手には負えないよ! すぐに保護省に連絡を取って――」

「もう御坂くんがやってる。でも、きっと間に合わない。時間がないんだよ」


 自分でもびっくりするほど静かな声が出た。

 私だって、父さん達に頼りたい。あんなにあっさり人殺しが出来る人達とこれから対峙するなんて、考えただけで足が竦んでしまう。


 それでも私は、純血パワードだから。

 純血は能力パワーでミックスを圧倒するからこそ、特別な待遇を受けて育ってきてる。幼い頃から大切に保護されてきたのは、いざという時に役立つから。

 私は引けない。見捨てていけない。


「無理じいはしないよ。最初から2人でやるつもりだったんだし。でも手伝わないなら、帰って。鈴森さんを守る余裕まではないから」

「……あんな映像見た後で、帰れないでしょ」


『守る』という言葉にカチンときたのか、彼女の白い頬に赤みが戻ってくる。鈴森サヤはバングルに触れ、保護レベルを5まで落とした。それから挑むような眼差しで、私を見つめ返す。


「45階で待ち伏せするの、いいと思う。気配を出来る限り消して、テレポートしてきたところを不意打ちするんだね?」

「うん。それがいいかな? って。柊くんはどう思う?」

「俺も賛成。奴らがどこにテレポートしてくるか、感知は鈴森に任せていいか?」

「いいわ。飛んできたところに、私が衝撃波を与えるから、神野さんはリーズンズを拾って一緒に離脱して。飛べるんでしょ?」

「うん……たぶん」

「多分!?」


 いつもの冷静な委員長じゃなくなってる。鈴森サヤの焦ったところなんて、初めて見た。あの取り澄ましたツン顔より、私はこっちの方が好きだ。


「自分で飛ぶのはやったことないんだよ。全部今日が初めてで……」

「なにそれ! 柊くん、どうなってるの!?」

「アセビなら大丈夫だ。俺もサポートする。鈴森も奴らが応戦体勢になる前にすぐ離脱して。絶対に戦わないこと。捕まえようとも思うな。向こうが俺の思ってる組織の奴らなら、計画失敗を認識した時点で自爆する可能性もある。いいな?」


 私達はセントラルで色んな技術を教わってる最中だけど、その中に殺人は含まれていない。どれだけ能力で優れてたって、一度も対人戦を経験したことのない私達と実戦経験のある大人じゃ、こっちに勝ち目はないって柊くんは言ってる。相手が特攻覚悟なら、余計。

 鈴森サヤにも彼の言いたいことは伝わったらしく、彼女は素直に頷いた。


「分かった。私もすぐ離脱する」

「その言葉、信じるから。じゃあ、とりあえず、これ」


 柊くんは端末を取り出し、柊邸のマップを画面に呼び出した。すっと鈴森サヤの隣に移動すると、彼女に端末を見せる。さらり流れる黒髪を耳にかけ、鈴森サヤは柊くんにくっつくようにして画面を覗き込んだ。


「ここは?」 

「柊の本宅だ。何かあってはぐれた時の為に、確認しておいてくれ。お前が来たら離れに通すよう家の者に言っとくから。色々と聞きたいことがあるし、お前も同じだろう? そこでお互いの情報を明かそう」

「いいよ、分かった。その代わり、門限やぶりを親に注意されたら、柊くんも一緒に謝ってね」


 鈴森サヤが冗談めかして答えると、柊くんも少しだけ口角をあげ「お安い御用だ」と請け負った。二人の間にさっきまであったピリピリした空気はやわらぎ、気安い雰囲気が漂う。

 人命がかかった非常時だというのに、ものすごく面白くない気持ちになった。

 多分、これは嫉妬と呼ばれる種類の感情だ。初めて味わったソレは、ものすごく苦かった。胸の内側が、紙やすりで擦られたみたいに痛い。

 ああ、嫌だな。こんなに気持ち悪い感情だとは思わなかった。


「……アセビ?」

「何でもない。行こっか。先に練習したいし、自分で飛んでみる」

「分かった」


 当たり前のように柊くんは私のところに戻ってきて、私の右手を握った。


「15階上にあるフロアをイメージして。アセビならやれる」


 彼の手を振りほどきたかった。1人で飛べるし、お構いなく! って嫌味の一つでもぶつけたくなった。でもそれで失敗したら、目も当てられないのも分かる。悔しさを飲みこんで「お願いします」と呟く。

 別に柊くんが悪いわけじゃないのに、何なの、この気持ち。理不尽過ぎる。

 私は何度か深呼吸を繰り返し、ヤキモチもイライラも思いっきり蹴飛ばした。意識を切り替え、自分の体を目的地まで滑らせるイメージを強く描く。

 よし、いける!

 テレポート能力を発動させた直後、私と柊くんは45階のエレベーターホールに立っていた。階が違うだけで、さっきと同じ場所だ。

 続いて、鈴森サヤも姿を現す。彼女は私を食い入るように見てきた。


「……早い。本当に今日が初めて?」

「うん。上手く行って良かった。集団転移に比べたら、ほんと楽だね。あっちは地面の深いところにシャベルを突き刺す感じだけど、こっちはスコップで砂場の砂をすくう感じ」


 彼女は金魚みたいに口を開け閉めした後、私のバングルに視線を走らせ、「集団転移?……10で?」と呻いた。

 あ、そういえば私のバングルに意味がないこと、鈴森サヤは知らないんだ。どうしたものかと思案しかけたところで、柊くんが割り込む。


「その辺りも、落ち着いたら説明する。それより、そろそろじゃないか?」

「あ、そうだね。鈴森さん、どう?」

「いけるよ。感知開始します」


 彼女は頷き、両手を耳に当てた。じっと目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませているみたい。やがて、彼女は形の良い唇を動かした。


「こちらに向かってショートテレポートを繰り返してる4つのパワーを感知。転移軌道を測定。……ここだね。このままいけば、5分30秒後に、エレベーターホールに出現」


 全ての能力値に置いてダブルS以上を叩きだす彼女の実力は、本物だった。

 転移軌道って、なに?

 どういう仕組か分からないけど、鈴森サヤは彼らが飛んでくる方向や速度が全部分かるみたいだ。柊くんは端末を操作し、タイムリミットを設定した。


「思ったよりギリギリだったな。残り、4分43秒だ。気配を消そう。二人とも能力を抑えて」

「分かったわ」

「どうやって!?」


 鈴森サヤと私の返事がかぶる。彼女は表情をやわらげ、私を見た。


「神野さんは、普通にしてたら大丈夫だよ。ちゃんと抑えられてる」

「そう、なの? 特に何もしてないけど」

「無意識のうちに抑え込んでるんだよ。誰にでも出来ることじゃない。神野さんがすごい力を隠してることに、私もずっと気づかなかった。テレポート実習の時のあれも、やっぱりあなたの仕業だったんだね」


 そう言うと、鈴森サヤはわずかに瞳を眇めた。


「神野アザミの血は伊達じゃないってことかな」


 強い対抗意識がちらり、彼女の表情をよぎる。女の嫉妬的なものも混じってた気がして、胃がきゅうと縮こまった。

 ええ~。まさかの鈴森サヤも、柊ハルキ狙いだったとかいうオチ?

 彼女みたいなハイスペックパワードがライバルだなんて、勘弁して欲しいんですけど!


「鈴森。アセビを困らせるな」


 言葉に詰まった私を見て、柊くんが口を挟んでくる。鈴森サヤは軽く肩をすくめ、話を変えた。


「私は保護レベルを一旦戻すね。柊くん、カウントダウンお願い。直前にまたレベルを下げて、4人の脳を直接揺らすから。これ、ほんとは多比良さんの方が得意なんだけどね。不意打ちなら、上手くいくと思う」

「分かった。じゃあ、最終確認だ。まずは、鈴森が攻撃。俺達はリーズンズを連れて一階のロビーに飛ぶ。そこでうちの応援メンバーと接触。リーズンズを保護してもらう。警察と消防への対応もそっちに頼むつもりだ。その後、離れに引きあげる。鈴森はあまりパワーを使わない方がいい。家の車を呼ぶから、一緒に乗って行こう」


 柊くんの説明を聞き終えると、彼女はふわりと微笑んだ。クールビューティな見た目が一気に柔らかくなる。同性の私までドキっとした。


「ありがとう。柊くんって、すごくしっかりしてるね。くらい頼もしいな」

「……そりゃどうも」


 柊くんは頬を強張らせ、言葉少なに答える。私はむすっと唇を引き結び、精神統一に入った。

 今は作戦中! ヤキモチは後回し!

 柊くんも端末に目を落とし、表情を引き締める。


「来るぞ。10、9、8、7……」


 カウントが5になったところで、鈴森サヤはバングルの保護レベルを下げた。彼女の感知通り、1を数えたところで、目の前の空間がぐにゃりとたわむ。

 オレンジ色の防火服を着こんだ4人の男が、背広姿のリーズンズを肩にかついだ恰好でテレポートしてきた。

 殺人者の顔を確認する余裕もなく、ただ身構える。

 彼らの目が私たちの方に向けられた瞬間、鈴森サヤはパワーを解放し、彼らの脳に直接強大な精神波をぶつけた。保護レベル5とはいえ、全国トップレベルの能力を誇る純血の一撃は、強烈だったようだ。彼らは一斉に白目を剥くと、その場に崩れ落ちた。担がれていたリーズンズのおじさん達もフロアに投げ出される。


「ちょっと待って」


 柊くんは端末をかざし、転がった彼らの写真を何枚か撮った。


「よし、行こう」

「分かった。柊くん、サポートお願い。鈴森さんも一緒に飛ばすから、じっとしてて!」

「え……私は自分で――」

「寿命削ることない。さっきの栄養バーのお礼にはならないかもだけど、任せて」


 柊くんが再び手を繋いでくれる。大きな手から、温かな波動が伝わってきた。

 柊くんの示した転移先の場所をしっかり頭の中に刻む。

 よし、目的地設定おっけー。

 テレポートする皆も捉えた。間違えて、犯人達まで一緒に飛ばないように、頭の中でピン留めして……っと。私を含めて、全部で7人。うん、確認もおっけー。


「いくよ!」


 繋いだ手に力を込めて、転移能力を解放する。

 次の瞬間、私達は一階ロビー。フロントデスクのすぐ傍に立っていた。

 慌てて数を確認する。気絶したリーズンズのおじさん4名。鈴森サヤ、柊くん、そして私。やった、成功だ!


「ハルキ様!」


 すぐ近くで固まってひそひそと話し合ってた黒服の男性たちが、柊くんを見てホッとしたように声をあげた。駆け寄ってきた彼らに、柊くんはてきぱき指示を出し始める。

 大人びているとはいえ15歳の少年が、この場にいる大人達の上に立ってるの、傍から見たらかなりシュールだ。中身年齢は近いし、本人達は違和感ないのかもだけど。リーズンズのおじさん達は、黒服の一人が呼んだ救急隊員たちの手によって担架に乗せられ、運ばれて行った。


 何とかなりそう、かな?

 気が緩んだ途端、体中の力が抜けていく。

 栄養バー3本じゃ足りなかったんだ。もっとお腹にたまるもの、食べないと――。


 そう思ったのを最後に、私を取り巻く世界は暗転した。

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