第14話 赤宮家3
それにしてもこの和室、広い。
何畳くらいあるんだろう。
あ、畳を数えたらいいのか。1、2、3・・・。
他人の家に来てぼくは一体何をしているのだろうか。ちなみに部屋の広さは24畳だった。かなり広い。婆ちゃんの家の和室は8畳なのでその3倍もある。
神社の門を見た瞬間から何となく察してはいたが、この部屋に通されて改めて確信した。赤宮家はかなりお金持ちである。
今座っているこの紫色のフカフカした座布団も、おそらく最高に上質なものだということが分かる。弾力がすごい、何時間座っていてもお尻が痛くならなそうだ。
それだけではない。部屋の奥には高そうな掛け軸や置物が並んでいて、とにかく自分がこんな部屋に座っていることに対する場違い感がすごい。田舎の貧乏人には少々刺激が強い部屋だなと思う。
こんな家で育てられた子供は一体どんな風に育つのだろう。やはりお上品でお高くとまっているのだろうか。「オホホホホ」とかって笑うのだろうか。いい物ばかり食べてブクブクと太っているのだろうか。通学路でサルビアの花のミツを吸って「うめえ〜〜甘い〜〜」とか言ってた田舎者のぼくには、およそ想像もつかないような日々を過ごしているに違いにない。
ぼくはポケットからメモ帳を取り出して「赤宮家はお金持ち」と書いた。
それからほどなくして、おばあさんがお茶を運んできた。これまた分厚くて重厚感のある湯のみにちょうど良く渋みの出たお茶だった。さすがは京の都、今まで飲んだお茶の中で一番おいしかった。そして一緒に添えられていた和菓子、これもまた極上だった。サクッと香ばしくほのかに甘みのあるおせんべいのような代物だ。これはどこでお土産に売っているのか、あとで聞いてみようと思う。
「
ぼくの飲み終わった湯のみをお盆に乗せると、おばあさんはそう言ってぼくの向かい側に座り込んだ。漆色のテーブルを挟んで正面、静かにその口が開かれる。
「先ほども申し上げましたように、赤宮家は現在大きな問題を抱えております」
道中で「込み入っている」と話していたが、どうやらその件についてらしい。ぼくは黙って頷き、おばあさんの話に耳を傾ける。
「
「いえ、ぼくは何も」
ぼくが知らされたのは「許嫁がいる」「名前は赤宮一花」「
「そうでございますか」
「彼女がどうかしたんですか?」
少しの沈黙。
おばあさんは、続けた。
「赤宮一花様は、呪いにより病床に伏しております」
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