第4話 京都駅
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目覚めたら京都だった。
「京都駅でお降りのお客様は忘れ物をしないようにご準備ください」という車内アナウンスで目覚めた。時刻は早朝6時前、すっかり陽は昇り、窓の外には雲ひとつない青空が見える。
やがて、バスは京都駅前の停留所に停車した。
スニーカーの靴紐を結び直し、リュックを持ってバスを出る。ほとんどの乗客が同じように下車していた。ぼくは目の前にそびえ立つ京都駅を前にしばらく呆然と立ち尽くした。京都駅には「京都駅」と書いてあった。とてつもなく巨大で、端の方は遠過ぎて見えない。これが京都駅。中学生の頃の修学旅行で来たことはあるはずだが、もうほとんど記憶には残っていなかった。
(本当に来てしまった。
ひとりで、京都まで来てしまった。)
京都の地へと降り立ったことに対して、田舎者の胸はかつてないほどに高鳴っていた。
京都駅の周りは京都っぽさはあまり無いけれど、田舎者からするとめちゃくちゃ都会感がある。背の高いビルがたくさん建っているのだ。すごい。ぼくの地元には3階以上の建物はほとんど存在しないのに。これが田舎と都会の差ってやつか。すごい。
1分ほど感傷にふけって、スマホで京都駅の写真を撮った。
父親に「着いた」と写真付きで連絡を送ると、直ぐに返事が来た。
「未来の嫁さんによろしく☆」とのこと。相変わらず軽薄な父である。
「さて・・・」
独り言を呟き、地図アプリを起動した。
京都に来ただけで浮かれている場合ではない、目的はあくまでも赤宮さん家への挨拶だ。挨拶、、、考えるだけで緊張がほとばしる。憂鬱だ。ければ、こちらは正式な許嫁らしいから蔑ろにされることはないだろう。気楽な気持ちで行けばいいはずだ。
ぼくは【狐狸神社】の場所を検索する。
赤宮家が代々経営をしている神社だ。
そこに行けば許嫁が、赤宮一花がいるらしい。
今回の旅の目的地である。
しかし、スマホ画面には似たような名前の神社や、近辺の神社ばかりが表示される。肝心要の狐狸神社に関する検索がヒットしない。おかしい。どういうことだ。
ーーと、普通の田舎者ならばここで慌てふためき、オロオロと京都の街で混乱することだろう。冷や汗を垂れ流し、目を潤ませて絶望に飲まれるに違いない。
しかし僕は腐っても現代に生きる18歳だ、これしきのことで慌てることはない、ネットの使い方は熟知している。
グーグル検索、検索結果該当なし。
インスタグラム検索、検索結果該当なし。
ツイッター検索、検索該当なし。
ぼくは慌てふためき、オロオロと京都の街で混乱した。
冷や汗を垂れ流し、目を潤ませて絶望に飲まれた。
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