8.恭兵
「ここがわたしぃの店や」
と女将がエレベーターから真澄を店内に案内する。
白木のカウンターがあって席は10席、薄暗い照明の中に白衣を着た美しい女性がスポットライトを浴びるようにカウンターの中に浮き立っていた。
「いらっしゃいませ」
と白衣を着た女性が真澄に挨拶する。
「夜分遅くにお邪魔しちゃってすみません」
と真澄は古風な挨拶を返す。
「大丈夫やわ。こっちに座って。そう言えばお姉さんのお名前をうかがってなかったわ〜」
「私は大沢真澄です」
「そうなんや。わたしぃが女将の早苗で、あの女の子が料理長の美樹やわ」
「料理長さんなんですかぁ?すごーい」
「いいえ、たいしたことはないケン」
と突然瀬戸内地方の訛りが出る。
「それであすこに座っている男が、わたしぃのダンナの恭兵やわ」
今まで真澄の眼中に入っていなかった男性を女将が紹介する。恭兵はドモと軽く会釈をした。
真澄はビンビールをチビチビ飲んでいるその男性を見て、オシッコを漏らすくらいビックリした。
「ええ〜っ⁉︎ 恭兵さま〜?」
「やっぱ知ってた?」
と女将はさも自慢するかのようにニヤッと笑って言った。
「エーッ!ほんとに恭兵さまなの〜?」
「ほんとじゃケン。正真正銘の恭兵さんじゃケン」
と美樹が不機嫌そうに言う。
「エーッ、まじで〜。どうしよう私」
恭兵と言われた男性は特にきらびやかな感じはしない。どちらかというと朴訥とした感じだ。
恭兵についての経歴などは後の章で詳しく書く。ここで言えることは、恭兵は80年代の伝説のロックバンド、ブラームスのギターリストで、ブラームスの楽曲をほとんど作詞、作曲したというカリスマミュージシャンだ。
真澄も早苗も恭兵もみな同じ歳で、真澄が恭兵の大ファンだということは十分ある話だ。
「あんた、真澄さんになんか1曲聴かせてあげて。せっかく来たんやから」
恭兵はうんと頷くと横からマーチンのD45というフォークギターを取り出した。
…あ〜のひぃ〜に、もどぉれ〜るならば〜…
ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャン
…きぃみのぉ〜すがたをぉ〜、もういちどやきぃつけぇ〜たぁ〜い…
ジャッチャーン
…ああ、だめなの漏れそうなの…
…あ〜のひぃ〜のぉ、しあわせをぉ〜もういいちどぉ〜〜…
ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン
とギターを弾き終わると恭兵はガクッとうなだれた。
…ああ、もうだめぇ〜…
突然真澄は両手でギュッと股間を押さえたが、次第にボタボタそしてとうとうバシャバシャとそこでおしっこを漏らしてしまった。
「やっぱり漏らしたケン。恭兵さんの前で恥ずかしくないのかのぉー」
「まぁほんとやわ〜。恭兵にどんななってるかチェックしてもらおか?ちょっと立っとくれ」
「えー、ダメです。ダメです。そんなされたら私恥ずかしくて死んでしまいます‼︎」
「そう言われるとますますやらなあかんな」
と早苗が真澄のイスの後ろに回り込み、後ろから真澄の乳房に手を回した。
そして先程と同様に真澄の両乳首をつまんでヤワヤワと揉みしだく。
「お嬢さん、言うことを聞いとくれ」
「…ああっ…」
「ほうら体の力が抜けていく」
真澄は催眠術にかかったように脱力していく。
「そや、そうしたら椅子に浅く腰掛けて、そう。それで脚を開くんや。そう、そしたら赤ちゃんがオムツ替えてもらうようなポーズをとるんや」
真澄は羞恥心で顔を真っ赤にしながらも早苗に言われたポーズをとってしまった。
「そうやお嬢さん。いい子や。恭兵、ちょっとズボンが染みた所の匂い嗅いであげて」
真澄は、ウゴウゴ言って顔を左右に振るが言葉にならない。
恭兵が真澄の股間のおしっこが染みた所に顔を近づける。
「ウゴっ、ウガッ」
「どんな匂いがするんや」
「ウン、おしっこの匂いがする」
恭兵が感想を率直に言ったその瞬間、真澄はギャーと咆哮するとガクッと気を失った。
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