幕間

さがしもの


「――こんにちは。今日も案内を頼めるかしら」


 おっとりとした声に足を止めると、顔馴染みである金髪の女性が微笑んでいた。

 透き通る白い肌、整った目鼻立ち。やや垂れた目尻が、美しさの中に幼さを感じさせる人だった。


 一歩、

 二歩、

 と彼女がゆっくり近付いてくる。


 三歩目で、すぐ目の前に。

 距離の近さに戸惑うが、彼女はいつだってそうだ。男どころか、女すらも惑わすと評判だった。

「どうしたの?」

 甘く声が響く。

 甘い声が響く。


 何も、考えられなくなる――



「――探し物は、見つかりましたか?」

「ええ、少しずつ。でも……」

「でも?」

「今になって、欲しいものが出来てしまったの」

「それは、どんな?」

「形のないもの。言葉には出来ないもの。だけど私は――探し物を続けなくちゃ」

「……、……」

「そんな顔をしないで。私、自分に嘘を吐くのは得意なの。――だから今日も、案内をしてくださる?」



 

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