幕間
さがしもの
「――こんにちは。今日も案内を頼めるかしら」
おっとりとした声に足を止めると、顔馴染みである金髪の女性が微笑んでいた。
透き通る白い肌、整った目鼻立ち。やや垂れた目尻が、美しさの中に幼さを感じさせる人だった。
一歩、
二歩、
と彼女がゆっくり近付いてくる。
三歩目で、すぐ目の前に。
距離の近さに戸惑うが、彼女はいつだってそうだ。男どころか、女すらも惑わすと評判だった。
「どうしたの?」
甘く声が響く。
甘い声が響く。
何も、考えられなくなる――
★
「――探し物は、見つかりましたか?」
「ええ、少しずつ。でも……」
「でも?」
「今になって、欲しいものが出来てしまったの」
「それは、どんな?」
「形のないもの。言葉には出来ないもの。だけど私は――探し物を続けなくちゃ」
「……、……」
「そんな顔をしないで。私、自分に嘘を吐くのは得意なの。――だから今日も、案内をしてくださる?」
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