第3話

昨日、ショウ君は学校に来なかった。

先生は一時間目の国語を道徳に変えた。

「このクラスにいじめがある、という報告がありました。先生はみんなのことを本当のことを言ってくれる人たちだと信じています。だから、何があったのか、先生に話してくれないかな。」

みんなは黙っている。重たい沈黙だった。

僕も何も言えなかった。

道徳なんて、もう、好きじゃないから。

答えたくなかった。

別に答えられなかったわけじゃない。

僕たちは、少なくとも僕は正義だから。

いじめは悪なんだよね。

じゃあ、僕はやっていない。


「私、見ました。」最初に声を発したのはやっぱり桃子だった。

「ショウ君がからかわれてました。ショウ君は嫌そうでした。」

「本当のことなのかい。」

先生は僕たちを見回した。

誰も何も答えない。下を向いている人、どこかを見つめる人、、、

ダイキ君は自分の爪を見つめていた。


「君はどう思うんだ。」先生が僕を指した。

「桃子さんの言うことは間違っています。僕はショウ君にどう思っているのか聞いてみました。ショウ君は答えました。遊んでいるだけ、邪魔しないでって。だから僕たちは悪くありません。ショウ君が楽しくいられるように遊んでいただけです。」

「ショウ君は怖くてそう言ったとは思わないのかい。」先生が言った。

「本当は嫌だったけれど言えなくてそう言ったとは思いませんか。」わざとやさしく言ってあげている、というような言い方だった。

おなかの奥から蛇みたいな生き物が出てきて、暴れまわる。

僕は生まれて初めて先生を憎いと思った。

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